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【特集】カイオム Research Memo(8):完全ヒトADLib(R)システムの技術導出などに注力、早期の黒字化を目指す


■今後の見通し

(3)今後の取組み方針

カイオム・バイオサイエンス<4583>では今後、以下の3点に注力していくことで、早期の黒字化を目指していく方針としている。

○完全ヒトADLib(R)システムの技術導出
完全ヒトADLib(R)システムの技術導出に向けては、ファーストインクラスになり得るターゲットの抗体作製に加えて、開発効率の高いPOCが確立しているターゲットに対する抗体作製を推進していく。セマフォリン3A抗原に関してはPOCが確立されていなかったことも導出が進まなかった要因と考えられ、こうした反省も踏まえてターゲットを絞り込んだ上で、開発活動を行っていく方針だ。

なお、完全ヒトADLib(R)システムについては継続的な技術改良を進めており、多様性の高いライブラリの構築が着実に進んでいる。

○LIV-1205(ADC用途以外)とLIV-2008の早期導出、収益の確保
リード抗体ライセンスアウト事業では、がん治療用抗体である「LIV-1205」(ADC用途以外)と「LIV-2008」の早期導出、収益の確保を目指していく。いずれも旧リブテックの開発品で、動物モデルで抗がん活性を示すことが確認されているもの。国内外の製薬企業等に対して導出活動を行っていく。

「LIV-1205」については、米国で開催されたカンファレンスにおいて導入に興味を持つ企業へのアプローチ、導出に向けた交渉を進めている。また、ADCT社向けについても現在のオプションライセンス契約から本契約への移行が期待される。

一方、「LIV-2008」はヤクルト本社とのオプション契約が2015年7月に終了しており、同月から導出活動を開始している。オプション契約が終了となった理由は、ヤクルト本社における医薬品開発部門の戦略的理由によるもので、薬効などに問題があったわけではない。同社では3年半にわたる共同開発で蓄積したデータをもとに、導出活動を今後積極化していく。

○既存ビジネス・診断薬ビジネスの収益拡大
現在、収益化している創薬アライアンス事業や基盤技術ライセンス事業の中でも診断薬ビジネスでの収益拡大を目指していく。創薬アライアンス事業では、中外製薬グループとの研究契約の内容が評価されており、同実績を基に他の製薬企業からの受注獲得を進めていく。また、診断薬ビジネスでは富士レビオでADLib(R)システムを使った新たな診断用抗体の開発が進んでいるほか、他の診断薬企業への導出に向けた活動を強化して契約獲得を進めていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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