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【経済】中国版QEの思惑、「貸付担保再融資」制度を拡大


中国人民銀行がこのほど発表した「貸付担保再融資」制度の試験的実施エリア拡大は、中国版の量的緩和(QE)か??。市場では、こうした議論が活発になっている。
中央銀行の人民銀行は10日、山東省、広東省で試験的に実施していた「貸付担保再融資」について、適用エリアを上海市、天津市、遼寧省、江蘇省、湖北省、四川省、陝西省、北京市、重慶市の9省・市にも拡大すると発表した。
貸付担保再融資とは、商業銀行が自身の貸出資産を担保に中央銀行から資金を借り入れることができるもの。債券を担保供出することがないまま、中央銀行から資金を調達できる仕組みだ。中央銀行にとっては資金供給ルートが拡大するため、「中国版QE」と形容する向きもある。
しかし、貸付担保再融資とQEとは厳密にいえば異なるため「中国版QEとの名称は正しくない」との異論が少なくない。異なる点の一つ目は、中央銀行の主体性。貸付担保再融資の場合、供給規模は銀行の需要量によって決まり、主導権は中央銀行でなく、銀行にある。これに対し、一般的なQEは、中央銀行があらかじめ規模などを確定するため、強制的な面が強い。
資金の供給期限も異なる。貸付担保再融資は、貸出期限が定まっており、中央銀行のバランスシートが永久的に拡大することはない。これに対して、QEは永久的なものである。
資金調達コストにも差異がある。貸付担保再融資の資金コストは、その時の金利や銀行の担保の質によって決められるのに対し、QEのコストはほぼゼロである。
「中国版QE」と定義すべきかどうかは見解が分かれるものの、「貸付担保再融資」が新たな金融緩和ツールになるのは確かなようだ。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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