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【通貨】欧米為替見通し:米利上げは年内困難の見方浮上


今日の欧米市場で、ドル・円は上値が重くなりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派メンバーが10月利上げに懐疑的な見方を示したほか、ベイナー下院議長の辞任で債務上限問題が再浮上し、年末にかけて市場が混乱する可能性が意識されるためだ。

ドル・円は、16-17日のFOMCで利上げが先送りされた直後は119円付近まで値を下げた。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長から年内利上げの方針が示されたことや、米4-6月期国内総生産(GDP)の上方修正などが足元の買い材料だ。ドル・円は今日の東京市場では日本株安を受け下落したものの、欧米市場では上昇基調が見込まれる。

しかし、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は25日、10月利上げの可能性について、まったくないわけではないものの、他の連邦制度準備理事会(FRB)当局者が10月会合までに利上げを支持する十分な新規データを入手できるか定かではないとの考えを示した。ブラード氏は「タカ派」のメンバーだが、利上げに関するトーンをやや弱めた印象。また、同氏の見立て通りなら、利上げの機会は年内では12月しか残されないことになり、その間に中国発の株安など市場が混乱した場合には「公約」の年内利上げも危うくなろう。

一方、共和党のベイナー下院議長が10月末で辞任する意向を表明したこともドル・円の上値を抑える可能性がある。暫定予算案は週内に可決される見通しで、米連邦政府機関の一部閉鎖といった事態は避けられるため、短期的なドル売り材料は取り除かれそうだ。ただ、米財政や連邦債務の上限引き上げをめぐって、民主党と共和党が万が一合意に至らなかった場合には、12月のFOMC会合の時期に再び金融市場が混乱するとの懸念もある。

イエレンFRB米利上げは年内実施に自信を示しているが、今日の取引では12月にかけて債務上限問題の再浮上により判断の見直しを迫られるのではないか、といった見方がドル・円の上値を抑える可能性があろう。

今日の欧米市場では、21:30の8月個人所得(前月比予想:+0.4%、7月:+0.4%)、8月個人消費支出(PCE)(前月比予想:+0.3%、7月:+0.3%)、23:00の8月中古住宅販売成約指数(前月比予想:+0.5%、7月:+0.5%)、9月ダラス連銀製造業活動指数(予想:-9.0、8月:-15.8)の米経済指標のほか、ダドリーNY連銀総裁講演(金融政策)が注目されよう。


【今日の欧米市場の予定】

・21:30 米・8月個人所得(前月比予想:+0.4%、7月:+0.4%)
・21:30 米・8月個人消費支出(PCE)(前月比予想:+0.3%、7月:+0.3%)
・21:30 米・8月PCEコア指数(前年比予想:+1.3%、7月:+1.2%)
・21:30 ダドリーNY連銀総裁講演(金融政策)
・23:00 米・8月中古住宅販売成約指数(前月比予想:+0.5%、7月:+0.5%)
・23:30 米・9月ダラス連銀製造業活動指数(予想:-9.0、8月:-15.8)
・02:30 エバンズ米シカゴ連銀総裁講演(金融政策)
・06:00 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演(経済見通し)

《SY》

 提供:フィスコ

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