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【市況】国内株式市場見通し:日米金融政策に注目、米国は不透明要因を先送りしないという選択肢も


■今年最大の上げ幅も投資家心理に変化なく

先週の日経平均は上昇。中国経済に対する不安感が根強いほか、週末に先物・オプションSQといった需給イベントを控えるなか、方向感の掴みづらい相場展開となった。8日には中国の8月貿易統計が発表され、輸出額と輸入額の減少率がともに市場予想を上回ったことで景気減速懸念が強まり、これが嫌気され下げ幅を拡大。日経平均は一時17400円割れ寸前まで下げる波乱の展開に。

しかし、翌9日には今年最大の上げ幅で18700円を回復。上げ幅としては1994年1月以来の大きさだった。もっとも、先物主導によるショートカバーのほか、日経レバレッジのヘッジに伴う買いなども観測されるなど、インデックスに絡んだ商いが中心。投資家心理の変化につながる相場の転換点とみるには時期尚早であり、メジャーSQを迎えた週末においても、方向感の掴みづらい相場展開だった。

■日米金融政策に市場の関心が集まる

今週は日米金融政策に市場の関心が集まることになる。14、15日には日本銀行が金融政策決定会合を開く。米国では16、17日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。また、FOMC前には15日に8月の米小売売上高、9月のNY連銀製造業景気指数、8月の米鉱工業生産指数、16日に米消費者物価指数が発表される。

国内については、日銀による政策決定会合でのサプライズを期待する向きは少ない。米国の利上げ実施後、郵政3社上場で需給懸念なども高まりやすい10月の金融政策決定会合での追加緩和が意識されている。とはいえ、期待されていない分、黒田日銀総裁の記者会見で追加緩和の可能性に関する発言が出てくるようだと、市場は好反応を見せてくる。米国については、9月のFOMCにおいて利上げが再開されるかが注目されており、その前に発表される小売売上高など各指標内容に対しても敏感に反応しやすいだろう。

■米利上げ再開なら不透明感払拭

ただ、これまでの米国市場の反応をみると、利上げ再開による新興国への悪影響が警戒されており、ネガティブ視されやすい。11日の米国市場では予想を下回る経済指標の内容が利上げ観測の後退につながっており、NYダウは100ドル超の上昇をみせている。コンセンサス通りに利上げ回避となれば、目先は好感されることになろう。しかし、米国の利上げ懸念という不透明要因を先送りしないという選択肢もあるため、利上げ再開が即波乱につながるというよりは、市場はアク抜けに向かう展開を想定しておきたい。

これにより、投資主体別売買動向で大幅な売り越しが話題となっていた、海外勢の基調に変化が見られる可能性。連鎖的に売り込まれていた中小型株や低位材料株といった個人主体の銘柄については、いち早くリバウンドが期待されるところである。

■訪日外国人客数、東京ゲームショウ

その他、16日に発表される8 月の訪日外国人客数が注目される。そろそろ訪日客数の伸び鈍化辺りが警戒されやすい。17日の8月の貿易統計で中国向け輸出が予想を下回るようだと、改めて中国の景気減速懸念が高まる。イベントとしては、17日~20日の4日間、ゲームイベント「東京ゲームショウ2015(TGS2015)」が幕張メッセで開催される。個人主体のリバウンド狙いの資金が集中する可能性がある。

なお、先週末には日銀の追加緩和期待などもあり、小売や水産農林、不動産、その他金融、証券、サービス、銀行、陸運といった内需系が強い値動きをみせていた。それ以前には内需系に対するファンドの解約とも取れる利益確定が強烈だっただけに、調整も一巡した感がある。今後は郵政上場に向けた同セクターへの売りなどが意識されやすいだろうが、既にポジション圧縮で相当手当てしているとも考えられる。現在の株価水準から更に下を売りにくる流れは、過度に警戒する必要はなさそうである。

《FA》

 提供:フィスコ

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