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【通貨】欧米為替見通し:英中銀の利上げスタンスを注視、ポンドは売り継続か


今日の欧米市場で、英中央銀行の金融政策委員会の内容が注目されよう。ポンド・円は7月以降、利上げ観測を背景に買われてきたが、8月下旬から売り圧力が強まっている。英国の物価目標の達成が不透明となっていることから、売りが続くと予想する。

英中銀金融政策委員会で政策金利が発表される。市場の予想通り0.50%の据え置きなら相場への影響は限定的と見られている。ただ、議事要旨で、今後の利上げに向けた考え方に関し、メンバーの発言や利上げを主張したメンバーの数によってはポンド・円の乱高下が予想される。

ポンド・円は5月7日の総選挙で、事前の世論調査に反して保守党が単独過半数を確保した際、政治面での不透明感が払拭されたとの見方から急反発。また、ギリシャ危機が深刻化でユーロが売られるなか、避難通貨としてポンド選好の展開となった。さらに平均賃金の上昇を背景に英中銀のカーニー総裁をはじめ、政策委員会のメンバーが利上げの必要性に言及し始めたことが相場を押し上げ、8月上旬には一時195円台まで上昇し、6月につけた年初来高値195円89銭に接近した。

しかし、8月18日に発表された英国の7月消費者物価指数は前年比0.1%、コア指数は1.2%と、英中銀が目指す2%の物価上昇には及ばない状況だ。また、8月の金融政策委員会で利上げに投票した委員は1人にとどまり、その後米利上げ観測の後退とともに、ポンド売り・円買いの流れが続き、9月4日には180円台まで下落。英国の鈍い物価上昇率を考慮すると、利上げ時期が読めず、買いは入りにくいとの見方が自然だろう。

なお、今日の欧米市場で欧米株価や米10年債利回りが上昇し、21:30の米・新規失業保険申請件数(先週)が予想を上振れした場合、ドル買いが進む可能性はある。ドル・円はすでに上値抵抗レベルと見られていた120円80銭付近を上抜けており、瞬間的には121円台に乗せている。かつての上値抵抗ラインがサポートラインとして意識されるか注目。


【今日の欧米市場の予定】

・20:00 英中銀が9/10金融政策委員会の議事要旨公表
・21:30 米・新規失業保険申請件数(先週)  27.5万件  28.2万件
・21:30 米・輸入物価指数(8月)  前月比-1.6%  -0.9%
・23:00 米・卸売在庫(7月)  前月比+0.3%  +0.9%
・02:00 米財務省30年債入札(130億ドル)

《SY》

 提供:フィスコ

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