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【通貨】欧米為替見通し:米雇用統計が低調ならむしろドル一人勝ちか


今日の欧米市場では米8月雇用統計の内容が最大の焦点となる。堅調なら9月利上げ期待が再燃する一方、株価に織り込まれてドル上昇の重しになるとみられる。逆に低調なら市場にアク抜け感が広がり、ドルの上昇につながりやすいと予想する。

中国株式市場が抗日戦勝記念日で前日に続き休場となったことから、アジア市場では安心感はあったものの、日経平均株価の下落を受け、ドルを含む主要通貨は対円で下落基調を強めた。

市場は今晩発表される米雇用統計待ちの状態。連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定に大きな影響を与えることから、9月利上げなら最後の判断材料とも言え、今年下半期では最大の焦点となろう。足元では、非農業部門雇用者数(8月)は+21.9万人と、前回の+21.5万人を上回る見込み。一方、失業率(8月)は前月から横ばいの5.3%と予想されている。

雇用統計の内容が仮に堅調だった場合、ある邦銀関係者は「9月利上げへの期待感が強まることでドル買い」と予想する。ただ、それを織り込んで株安になればかえってドル買いの重しになる。むしろ雇用統計が低調の方が、いったん失望の売りが見込まれるものの、市場にアク抜け感が生まれる。このため、来週にかけて122円付近に値を戻すと予想する

なお、前日開かれた欧州中央銀行(ECB)理事会で、ユーロ圏経済の弱さが改めて示されたほか、ドラギ総裁が量的緩和(QE)を2016年9月末以降も続けるとの意向を示した。これを受け、リスク回避の受け皿として選好されたユーロには、今後買いが集まりにくくなる可能性が出てきた。そうなると、米利上げ時期が9月から後退しても年内は確実とみられるため、ドル一人勝ちのシナリオも考えられる。


【今日の欧米市場の予定】

・21:10 ラッカー米リッチモンド連銀総裁講演(演題:利上げが遅れた場合)
・21:30 米・8月非農業部門雇用者数(予想:+21.9万人、7月:+21.5万人)
・21:30 米・8月失業率(予想:5.3%、7月:5.3%)
・21:30 加・8月失業率(予想:6.8%、7月:6.8%)
・G20財務相・中央銀行総裁会議(アンカラ、5日まで)

《SY》

 提供:フィスコ

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