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【経済】中国の「中所得国の罠」、5中全会で議論再燃か


中国共産党中央委員会・第5回全体会議(5中全会)の開催を今年10月に控え、「中所得国の罠」をめぐる議論が再び高まっている模様だ。
今年の5中全会では、第13次5カ年計画(2016~20年)が制定される予定。24日付香港経済日報によると、草案に関しては、すでに基本的なコンセンサスができているが、国内経済の現状と今後の見通しに対しては、政府機関や有識者の間で意見が分かれている模様。中国が「中所得国の罠」に陥るか否かをめぐって、特に激しい議論が展開されているようだ。
まず北京大学の林毅夫・教授らのグループは、「中所得国の罠」には陥らないと否定的な見解を示している。一方で、国務院発展研究センターの専門家らは「中所得国の罠」に陥る恐れを指摘。財政部の楼継偉・部長も同様のスタンスで、「50%の確率で陥る」と予想した。
次期5カ年計画を定めるうえでは、経済見通しの正確性が求められているだけに、同議論の行方が注目されている。
30年に及ぶ高成長の時代を経て、ここ数年は経済成長ペースが鈍化傾向にある中国。各種の改革を通じて経済の活力を保ちつつ、いかにして「中所得国の罠」を防ぐのかが喫緊の課題となっている。
中国社会科学院人口・労働経済研究所によると、中国の1人当たりGDPは、13年時点ですでに6000米ドル(約73万円)を突破。中間よりやや上の所得水準に達した。半面、人口ボーナスの消失や資源環境問題など新たな難問も出現。これら問題が経済成長力を弱めることで、「中所得国の罠」に陥る可能性が懸念されている。
「中所得国の罠」とは、ある国が中所得の水準に達した後、生産コストの上昇などで競争力が低下し、最終的に経済が停滞する現象。ブラジルやメキシコなど、南米諸国が典型的な例となっている。
国際通貨基金(IMF)によると、中国は2007年に経済成長率がピークに達した模様。「中所得国の罠に陥るのを回避するために、経済メカニズムの改革が必須」と警鐘を鳴らした。中国人民大学・国際通貨研究所の副所長も、「中所得国の罠を回避できなければ、“南米化”の危機に陥る恐れがある」と危惧している。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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