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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「バブル崩壊の兆し」


◆「3日新甫」の8月、その本領をいよいよ発揮か。中国発の波乱が欧米、新興国に伝播、「通貨安競争」「資源価格安」「新興国不安」といった懸念が台頭し、世界を駆け巡るマネーの流れに変調の兆しが出てきた。こうなると、PKOで高値圏を維持してきた日本株もさすがに怪しくなってくる。

日経平均は2万円~2万0900円の往来で推移し、今秋の「郵政上場」を控えてPKO相場がまだ続く可能性もあったが、6月24日高値2万0952円と8月11日高値2万0946円の「Wトップ」懸念から、20日現在2万0033円まで軟化。日足は25日線、75日線、転換線、基準線を割り込み、節目の一目均衡表「雲」(2万0033円~1万9948円)や週足の26週平均線(2万円)に抵触した。ここは上昇基調を維持できるか否かの正念場だが、「雲」はクロスのタイミングで厚みがなく抵抗力の薄まるところだけに心配だ。

◆そして、カギを握るNYダウやFT、DAXなど欧米株の下げ基調が続き、さらに中国や東南アジア、南米など新興国マーケットは通貨を含めて波乱となり、原油など商品市況も軟調とあれば、2万円の正念場を割ってしまう可能性は小さくない。2万円を割り込むと次の下値メドは「7月9日安値1万9115円」となるが、当面のチャートは「2万円~1万9100円」の往来へチャネルが一段下がることになる。そして、3兆4000億円に膨れている信用買い残が軒並み苦しくなり「需給悪化懸念」が台頭することも承知しておかねばならない。

◆郵政の上場が決まり(11月4日)、政策相場(PKO)でまた大きく切り返す可能性はあるものの、これまでと同じように高値圏へすぐに大きく戻せるかは疑問。それは世界の動向次第だろうが、世界が未曾有の超金融緩和により、超過剰流動性の「マネーバブル」を6年半も続けてきての「陰転」だけに楽観は禁物。同時株安、マネー逆流となれば「サブプライム、リーマンショック」の再演も否めず、その時の下値メドは……さらに深まる。

◆日本株はPKOで高値圏の往来が長く続いたが、その間に年金買いやファンド買いによりディフェンシブの「薬品、食品、小売」が大きく買われてきた。インバウンドも追い風になったが、PERで50倍~80倍など実態から大きくかけ離れ、チャートも大きく腰を伸ばすものが少なくない。夏のボーナス資金獲得も一巡、インバウンド関連の大型ファンド設定も出てきて、ディフェンシブ人気もピークを極めた可能性がある。こうした状況で「同時株安」となれば、これら大きく上げた株は反動減に要注意だろう。

◆アベノミクスに日銀緩和、東京五輪など、この2年8ヵ月は確かに強い上昇相場を続けた。年配者の方には1980年台の右カタ上がりを彷彿とされていた方も多かっただろう。だが、あれから30年。世の中は大きく変わり、金融はグローバル化し、相場は買いだけではないことを認識すべきである。

(8月20日 記、毎週日曜日8時40分に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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