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【特集】【日本株・物色動向(1)】欧州混乱なら大幅な調整も覚悟 /植木靖男氏 <夏の相場観>

株式評論家 植木靖男氏

 昨年10月安値からの上昇相場も6月下旬の2万952円まで続いた。想定外の上昇である。本来なら、日柄関係から4月高値から相応の調整に入って当然であった。こうした強さの背景はなんであろうか。それは好需給にある。海外勢が年初から2兆8700億円も買い越しているのだ。世界マネーの運用先が我が国株式に絞られたとの見方が有力。米国、欧州、中国の株価急落をみれば明らかだ。だが、ここへきて市場に暗雲が漂い始めた。

 第1点は、わが国保有株比率30%超、日々の売買代金の60~70%を占める最大の買い手である海外勢が、ここにきて売り越し基調に転じてきた。理由は定かでない。第2点はギリシャ問題が大きな警戒材料として浮上してきたことだ。当初は、ギリシャのGDPはEUのそれのわずか2%であり、欧州経済への影響は小さいとみていた。だが、カネは大きい額になると借りた方が貸した方より立場が強いという典型例。ことと次第では、ギリシャのデフォルト(債務不履行)も視野に入る。このため、株価は急落、2万円割れも予想されるにいたった。

 では、今後の展開はどうみるべきか。欧州経済の混乱で思惑が交錯すれば、為替市場などを通じて日本経済への影響は小さくはないだろう。7~8月には1万8500円前後への下値は覚悟すべきであろう。ただ、年末に向け落着きを取り戻せば、日本郵政の上場もあり、2万1000円どころへの回復は可能。それまでは個別物色で、インバウンド関連のラオックス<8202>、低温物流に強みを持つニチレイ<2871>、利上げでメリット大の三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などに注目したい。

<プロフィール>

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SNBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観には定評がある。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

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