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【市況】【杉村富生の短期相場観測】

「長期上昇トレンド・シナリオに変化なし!」

●“5月の雨”は降らなかったが・・・・・・

 この季節の相場は荒れる。NY市場ではSell in may and go awayといわれているほど。「5月に株は売れッ、そして立ち去れ」と。いわゆる、有名な“5月の雨”である。

 しかし、今年は違った。“晴天”が続いている。このままサマーラリーに突入するのだろうか。

 いや、そうはなるまい。“5月の雨”はなかったが、6月初~中旬には激しい雨に見舞われると思う。

 すなわち、“6月の雨”である。しかし、この雨に脅えることはない。アジサイは雨の日こそ、映える。

 それに、ウォール街には5~6月の雨が草木を育て、花を咲かせ、秋に実りをもたらす!との教えがある。仮に、6月に調整があればそこは絶好の買い場となろう。

●6月初~中旬は波乱含み?

 6月初~中旬に相場が波乱に陥ると考えている背景には、(1)月末に海外投資家(ファンド)の中間決算期末を迎える、(2)7月にボルカー・ルールが導入される、(3)6月12日にメジャーSQを控えている、(4)欧米の金利上昇→投機筋がリスク・オフの姿勢を強める、(5)円高圧力がかかる――などがある。

 もちろん、中・長期的には何ら不安はないと思う。1~3月期のGDP成長率は2.4%と予想を上回った。弱気筋は思惑がはずれたのではないか。

 さらに、これは再三指摘していることだが、日本市場には猛烈な“追い風”が吹いている。

 すなわち、(1)政策対応の効果、(2)投資価値の向上、(3)需給の好転、(4)出遅れ感の存在、(5)世界的な金融緩和の流れ――である。このトレンドが変化しない限り、徹底した押し目買い方針が有効と判断する。

●双日、三井金に妙味あり!

 一方、物色面はどうか。確かに、足元の相場は抜群に強いが、この時期は6月の波乱に備え、銘柄を広げるべきではない、と主張している。これはリスク・マネジメントのひとつである。

 銘柄を絞り込んでおけば多少の“揺れ”に脅える必要はないし、買い下がりなどの対応ができる。

 具体的には双日 <2768> 、三井金 <5706> 、ラオックス <8202> [東証2]、みずほFG <8411> 、アクリティブ <8423> に注目している。

 双日の2016年3月期の1株利益は32円と予想されている。配当は2円増の8円とする。3期連続の増配である。それなのに、時価のPERは7.5倍、PBRは0.64倍(1株純資産は440円)にすぎない。これはおかしくないか。

 三井金の2016年3月期の1株利益は41円になる。マーケットでは「万年弱気見通しの三井金が突然、強気になった」と話題を集めている。配当は6円を継続する、としているが、増配の可能性があろう。

●みずほはPBR1倍水準を指向!

 みずほFGはPBR1倍水準の320円前後を目指している。配当は7.5円を行っており、時価の配当利回りは3%を超えている。みずほに預金(特に、普通預金)を有している人は株式に替えるべきだろう。

 ラオックス <8202> [東証2]、アクリティブ <8423> はインバウンド関連である。外国人観光客は2015年に1500万人を突破する。政府は2020年に2500万人の来日を見込んでいるが、これは前倒しで達成されると思う。

 なにしろ、フランスには年間8500万人、アメリカには7000万人、スペインには6000万人の外国人観光客が訪れる。日本はまだまだじゃないか。ラオックスの銀座店には大型バスが次々に乗りつけている。ほぼ100%が外国人だという。

 アクリティブは外貨レジ決済(ドンキホーテの主要店舗ではタイ・バーツ、中国・人民元、韓国・ウォン、シンガポール・ドルなどの外貨が使える)を手掛けている。

2015年5月20日 記

(「チャートブック日足集」No.1571より転載)

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