【特集】<特集> 【 女性が輝く社会 】
―女性の活躍で期待される業界や「なでしこ銘柄」などに注目―
text.
大和証券 投資戦略部
金沢 澄恵子
●女性活用は経済成長のカギ
安倍政権の成長戦略の最重要課題の1つが女性の活用だ。日本は人口減少社会に突入し、隠れた資産といえる「女性の力」を引き出さなければ経済成長を維持できなくなってきた、という危機感が背景にある。
国際的にも日本の取り組みに注目が集まっている。昨年10月、政府は女性の活躍を後押しするべく「すべての女性が輝く政策パッケージ」を決定。子育て・介護や働き方など6分野35施策で構成され、女性が働きやすい職場環境づくりや子育て環境の改善が柱に据えられた。
●女性活用でGDPを16%押し上げる試算も
これほどまで女性の活躍が叫ばれる背景には、女性の社会進出が遅々として進まないという状況がある。
世界の産政学のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート 2014」で、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が発表されている。調査対象142ヵ国のうち日本は104位(13年は136ヵ国中105位)と低迷が続いている。
日本の場合、「女性の活用」の発射台が低いだけに、様々な取り組みが本格化した場合の変化度は大きいといえよう。実際、雇用の男女格差を解消すれば、日本の国内総生産(GDP)を16%押し上げるという研究もある。
●女性を支えるインフラ整備が必要
政府の成長戦略では女性(25~44歳)の就業率を11年の66.8%から20年に73%まで引き上げるなどの数値目標を掲げている。
目標達成のためのインフラの1つである「子ども・子育て支援新制度」が15年4月よりスタート。12年に成立した子ども・子育て関連3法に基づく制度であり、育児期に該当する年齢層の労働力が落ち込む「M字カーブ」と呼ばれる現象を解消する子育て施策の拡充といえる。
新制度の大きな柱が認定こども園。幼稚園が預かり時間を延長して保育所の機能も兼ね備え、保育と幼児教育の質を高めることを目指す。
このほか、待機児童の解消につなげるための少人数保育(地域型保育事業)への給付の新設や、一時預かりや学童保育など身近な地域での支援の拡充も目指す。
●女性の活躍で期待される業界
女性の活躍する社会の実現のためには、インフラ整備や意識改革などが必要だ。国際労働機関(ILO)の報告書によると、女性管理職比率の国・地域別ランキングで日本は96位。女性の活躍の場が増えてくれば、政府の掲げる20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標の達成も可能となろう。
この目標実現に向けた取り組みの一つとして、経済産業省は、東京証券取引所と共同で2012年度より女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」を選定、発表している。
女性活躍推進に積極的に取り組み、成果を上げている企業は「多様な人材を活かすマネジメント能力」や「環境変化への適応力」があるという点で、「成長力のある企業」であるとも考えられる。
女性の就業を後押しする保育、ベビーシッター、家事代行などは働く意欲のある女性にとってニーズの大きなサービスだ。女性管理職比率が3割超と日本を大きく上回る香港、シンガポールでは、こうしたサービスが充実している。今後、日本でも女性の就業をサポートするサービス市場の成長が期待できよう。
★「女性の活躍」で期待される銘柄★
【育児サービス(保育園/学童保育など】
■JPHD <2749>
■明光ネット <4668>
■栄光HD <6053> [東証2]
■サクセスHD <6065>
■JSS <6074> [JQ]
■ピジョン <7956>
■東急 <9005>
■ニチイ学館 <9792>
【再就職支援】
■パソナG <2168>
■テンプHD <2181>
■エンジャパン <4849> [JQ]
■リクルート <6098>
【食品・日用品の宅配サービス】
■セブン&アイ <3382>
■イオン <8267>
(出所)各種資料より大和証券作成。
★2014年度「なでしこ銘柄」★
(*)は3年連続選定企業
■大和ハウス <1925>
■積水ハウス <1928>
■カルビー <2229>
■サントリBF <2587>
■東レ <3402> (*)
■大王紙 <3880>
■花王 <4452>
■メック <4971>
■中外薬 <4519>
■JX <5020>
■ブリヂストン <5108>
■TOTO <5332>
■JFE <5411>
■住友鉱 <5713> (*)
■LIXILグ <5938>
■コマツ <6301>
■ダイキン <6367>
■日立 <6501>
■東芝 <6502>
■川重 <7012>
■日産自 <7201> (*)
■ニコン <7731> (*)
■トッパンフォ <7862>
■大ガス <9532>
■東急 <9005> (*)
■郵船 <9101>
■JAL <9201>
■KDDI <9433> (*)
■SCSK <9719>
■丸紅 <8002>
■三井物 <8031>
■ローソン <2651>
■Uアローズ <7606>
■りそなHD <8308>
■三井住友FG <8316>
■大和 <8601>
■第一生命 <8750>
■NTT都市 <8933>
■ノバレーゼ <2128>
■JPHD <2749>
(出所)経済産業省発表資料
株探ニュース
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大和証券 投資戦略部
金沢 澄恵子
●女性活用は経済成長のカギ
安倍政権の成長戦略の最重要課題の1つが女性の活用だ。日本は人口減少社会に突入し、隠れた資産といえる「女性の力」を引き出さなければ経済成長を維持できなくなってきた、という危機感が背景にある。
国際的にも日本の取り組みに注目が集まっている。昨年10月、政府は女性の活躍を後押しするべく「すべての女性が輝く政策パッケージ」を決定。子育て・介護や働き方など6分野35施策で構成され、女性が働きやすい職場環境づくりや子育て環境の改善が柱に据えられた。
●女性活用でGDPを16%押し上げる試算も
これほどまで女性の活躍が叫ばれる背景には、女性の社会進出が遅々として進まないという状況がある。
世界の産政学のリーダーが集まる「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート 2014」で、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が発表されている。調査対象142ヵ国のうち日本は104位(13年は136ヵ国中105位)と低迷が続いている。
日本の場合、「女性の活用」の発射台が低いだけに、様々な取り組みが本格化した場合の変化度は大きいといえよう。実際、雇用の男女格差を解消すれば、日本の国内総生産(GDP)を16%押し上げるという研究もある。
●女性を支えるインフラ整備が必要
政府の成長戦略では女性(25~44歳)の就業率を11年の66.8%から20年に73%まで引き上げるなどの数値目標を掲げている。
目標達成のためのインフラの1つである「子ども・子育て支援新制度」が15年4月よりスタート。12年に成立した子ども・子育て関連3法に基づく制度であり、育児期に該当する年齢層の労働力が落ち込む「M字カーブ」と呼ばれる現象を解消する子育て施策の拡充といえる。
新制度の大きな柱が認定こども園。幼稚園が預かり時間を延長して保育所の機能も兼ね備え、保育と幼児教育の質を高めることを目指す。
このほか、待機児童の解消につなげるための少人数保育(地域型保育事業)への給付の新設や、一時預かりや学童保育など身近な地域での支援の拡充も目指す。
●女性の活躍で期待される業界
女性の活躍する社会の実現のためには、インフラ整備や意識改革などが必要だ。国際労働機関(ILO)の報告書によると、女性管理職比率の国・地域別ランキングで日本は96位。女性の活躍の場が増えてくれば、政府の掲げる20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標の達成も可能となろう。
この目標実現に向けた取り組みの一つとして、経済産業省は、東京証券取引所と共同で2012年度より女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」を選定、発表している。
女性活躍推進に積極的に取り組み、成果を上げている企業は「多様な人材を活かすマネジメント能力」や「環境変化への適応力」があるという点で、「成長力のある企業」であるとも考えられる。
女性の就業を後押しする保育、ベビーシッター、家事代行などは働く意欲のある女性にとってニーズの大きなサービスだ。女性管理職比率が3割超と日本を大きく上回る香港、シンガポールでは、こうしたサービスが充実している。今後、日本でも女性の就業をサポートするサービス市場の成長が期待できよう。
★「女性の活躍」で期待される銘柄★
【育児サービス(保育園/学童保育など】
■JPHD <2749>
■明光ネット <4668>
■栄光HD <6053> [東証2]
■サクセスHD <6065>
■JSS <6074> [JQ]
■ピジョン <7956>
■東急 <9005>
■ニチイ学館 <9792>
【再就職支援】
■パソナG <2168>
■テンプHD <2181>
■エンジャパン <4849> [JQ]
■リクルート <6098>
【食品・日用品の宅配サービス】
■セブン&アイ <3382>
■イオン <8267>
(出所)各種資料より大和証券作成。
★2014年度「なでしこ銘柄」★
(*)は3年連続選定企業
■大和ハウス <1925>
■積水ハウス <1928>
■カルビー <2229>
■サントリBF <2587>
■東レ <3402> (*)
■大王紙 <3880>
■花王 <4452>
■メック <4971>
■中外薬 <4519>
■JX <5020>
■ブリヂストン <5108>
■TOTO <5332>
■JFE <5411>
■住友鉱 <5713> (*)
■LIXILグ <5938>
■コマツ <6301>
■ダイキン <6367>
■日立 <6501>
■東芝 <6502>
■川重 <7012>
■日産自 <7201> (*)
■ニコン <7731> (*)
■トッパンフォ <7862>
■大ガス <9532>
■東急 <9005> (*)
■郵船 <9101>
■JAL <9201>
■KDDI <9433> (*)
■SCSK <9719>
■丸紅 <8002>
■三井物 <8031>
■ローソン <2651>
■Uアローズ <7606>
■りそなHD <8308>
■三井住友FG <8316>
■大和 <8601>
■第一生命 <8750>
■NTT都市 <8933>
■ノバレーゼ <2128>
■JPHD <2749>
(出所)経済産業省発表資料
株探ニュース