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【経済】NYの視点:独・EUはもはやギリシャのユーロ離脱恐れず


リトアニアは2015年1月に新たにユーロに加盟し、欧州単一通貨であるユーロを導入する19番目の国となった。一方、ギリシャでは離脱のリスクが高まった。昨年末に行われたギリシャ大統領選挙で、連立与党が擁立した元欧州委員のディマス候補の支持票が目標にとどかなかったため、サマラス首相は解散・総選挙を決定した。今月25日に実施される選挙でギリシャは再び、欧州連合(EU)からの救済プログラムを得るためのドイツ考案の緊縮策や改革プログラムに焦点をあてることになる。

サマラス首相はキャンペーンで、選挙が「ギリシャのユーロのメンバーシップを決定する」とし、「野党急進左派連合(SYRIZA)の勝利はデフォルト(債務不履行)やギリシャのユーロ離脱につながる」と警告。ただ、世論調査によると、支持率は依然、野党急進左派連合(SYRIZA)が首相率いる新民主主義党(ND)をはるかに上回り、優勢となっている模様。野党急進左派連合(SYRIZA)は欧州の支援策に反対方針で、選挙で勝利した場合、債務再編などの条件変更をEUなどに求める可能性がある。

最悪のシナリオはギリシャのデフォルトやユーロ圏離脱だと言われている。しかし、債務危機の最悪期2012年と違いメルケル独首相は「ギリシャのユーロ圏離脱が他のユーロ圏の脅威にならない」と述べ、ドイツがギリシャのユーロ圏離脱も覚悟している姿勢を表明。欧州連合(EU)の関係者もギリシャがユーロを離脱してもEUにとどまることができる方法を模索していると報じられている。2012年時よりもEU高官らが落ち着いている理由は市場動向にあるようだ。ギリシャの解散・総選挙の報道にもユーロ相場や欧州株式相場の動向は比較的安定していた。メルケル独首相、ショイブレ独財務相はもはやギリシャのユーロ離脱がユーロ崩壊につながると恐れてはいない。両者とも、数年前に比べ、ユーロはこのようなシナリオにも耐えられるとの自信を持っている。

2012年と比べ、いくつかの変化が見られる。ギリシャと同様に救済されたポルトガルやアイルランド、キプロスといった諸国は回復軌道にある。また、欧州安定メカニズム(ESM)で、混乱に陥った諸国の救援する準備がなされた。納税者が犠牲になるのは絶対的に最悪なケースに限られてくる。現在の懸念はギリシャの左派の台頭が、改革反対の左派勢力が強まりつつあるイタリアやフランスにも波及することだといわれている。

《KO》

 提供:フィスコ

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