【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「肝要なのは現状を正しく認識すること!」
●兜町の常識は世間の非常識!
兜町の常識は世間の非常識!という。しかし、最近ではその兜町の常識も怪しくなっている。
古来、見切り千両!利食い千人力!と教えられてきたが、現在はそれが通用しない。たとえば、エスクロAJ <6093> [JQ]は4月1日に1万500円の高値をつけた後、5月21日には4025円の安値まで売り込まれた。高値づかみの玉は完全に「ロスカット→投げ正解」のように思われる。
しかし、9月2日には2万5800円の高値まで買われた。安値比6.4倍である。正解は「突っ込み買い」だったのではないか。
もちろん、「投げ正解」のケースもある。DMP <3652> [東証M]は3月27日の500円の安値が8月26日には9180円の高値まで買われた。実に、18.4倍となった。だが、11月4日には2160円の安値をつけた。4分の1である。
●ヘビー・ネット・トレーダーが暗躍?
“現在進行形”の銘柄もある。アサカ理研 <5724> [JQ]は10月10日の安値460円が11月19日には6300円の高値まで急騰した。わずか1ヵ月ちょっとの間に、何と13.7倍である。なぜ、こんな激しい値動きになるのだろうか。
この背景には、ヘビー・ネット・トレーダーの存在がある。彼らは9人程度の投資グループを結成、特定の銘柄に猛烈に介入する。
それに、その資金力がすごい。筆者の知る投資グループは10~20億円クラス、500億円クラスとさまざまだが、彼らは時に連携した行動を見せる。もちろん、超高速回転商い(即日差金決済制度を活用)を行う。
それがチャート的に「イナゴタワー」を出現させる。マーケットの特性を理解するのは株式投資の「基本の基本」である。
●外国人に振り回される東証1部市場!
これは東証1部の動きについても言えること。こちらの波乱要因は外国人(特にヘッジファンド)、およびハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)の存在にある。外国人は10月第1~3週に約3兆円(先物を含む)売り越した後、11月に入ると一転して3.5兆円の買い越しとなった。これが10月以降の急落、急騰の背景である。彼らに振り回されている。
HFTはいまや、東証1部の売買代金の4割を占めている。しかも、1秒間に1000回、1万回の売買注文を執行する。そして、保有時間は1秒に過ぎない。こんな連中と“速さ”を競っても勝てるはずがないではないか。
●マーケットの常識を信用するな!
ヘッジファンドの今年の運用成績はボロボロである。大手のローンスター・キャピタルマネジメントは破綻(閉鎖)した。今後、こんなケースがもっと増えるだろう。
なぜ、プロ中のプロのファンドマネージャーが間違ったのか。それは、マーケットの常識を信用したことにつきる。
すなわち、テーパリングが実施されQE3が終了すると、アメリカの金利は上昇(債券安)、株価は急落する、地政学上のリスクの高まり→原油高になる、といったシナリオである。
確かに過去はそうなった(QE1、QE2終了時)。しかし、今回はまったく逆の動きになっている。結果的に彼らのポジションは“大曲がり”である。11月17日の株価急落は、ヘッジファンドの「悪あがき」だったとの見方ができる。
いずれにせよ、年末相場の投資戦術は解散・総選挙があるし、先物に振り回されにくい銘柄にマトを絞る作戦が有効だろう。
具体的には、外国人観光客(中国人)に人気のラオックス <8202> [東証2]、セイコーHD <8050> 、株価にうねりが出てきたクラリオン <6796> 、増配・自社株買いを発表している三菱UFJ <8306> 、大商いのケネディクス <4321> などに妙味があろう。
2014年11月19日 記
(「株探」編集部)
●兜町の常識は世間の非常識!
兜町の常識は世間の非常識!という。しかし、最近ではその兜町の常識も怪しくなっている。
古来、見切り千両!利食い千人力!と教えられてきたが、現在はそれが通用しない。たとえば、エスクロAJ <6093> [JQ]は4月1日に1万500円の高値をつけた後、5月21日には4025円の安値まで売り込まれた。高値づかみの玉は完全に「ロスカット→投げ正解」のように思われる。
しかし、9月2日には2万5800円の高値まで買われた。安値比6.4倍である。正解は「突っ込み買い」だったのではないか。
もちろん、「投げ正解」のケースもある。DMP <3652> [東証M]は3月27日の500円の安値が8月26日には9180円の高値まで買われた。実に、18.4倍となった。だが、11月4日には2160円の安値をつけた。4分の1である。
●ヘビー・ネット・トレーダーが暗躍?
“現在進行形”の銘柄もある。アサカ理研 <5724> [JQ]は10月10日の安値460円が11月19日には6300円の高値まで急騰した。わずか1ヵ月ちょっとの間に、何と13.7倍である。なぜ、こんな激しい値動きになるのだろうか。
この背景には、ヘビー・ネット・トレーダーの存在がある。彼らは9人程度の投資グループを結成、特定の銘柄に猛烈に介入する。
それに、その資金力がすごい。筆者の知る投資グループは10~20億円クラス、500億円クラスとさまざまだが、彼らは時に連携した行動を見せる。もちろん、超高速回転商い(即日差金決済制度を活用)を行う。
それがチャート的に「イナゴタワー」を出現させる。マーケットの特性を理解するのは株式投資の「基本の基本」である。
●外国人に振り回される東証1部市場!
これは東証1部の動きについても言えること。こちらの波乱要因は外国人(特にヘッジファンド)、およびハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)の存在にある。外国人は10月第1~3週に約3兆円(先物を含む)売り越した後、11月に入ると一転して3.5兆円の買い越しとなった。これが10月以降の急落、急騰の背景である。彼らに振り回されている。
HFTはいまや、東証1部の売買代金の4割を占めている。しかも、1秒間に1000回、1万回の売買注文を執行する。そして、保有時間は1秒に過ぎない。こんな連中と“速さ”を競っても勝てるはずがないではないか。
●マーケットの常識を信用するな!
ヘッジファンドの今年の運用成績はボロボロである。大手のローンスター・キャピタルマネジメントは破綻(閉鎖)した。今後、こんなケースがもっと増えるだろう。
なぜ、プロ中のプロのファンドマネージャーが間違ったのか。それは、マーケットの常識を信用したことにつきる。
すなわち、テーパリングが実施されQE3が終了すると、アメリカの金利は上昇(債券安)、株価は急落する、地政学上のリスクの高まり→原油高になる、といったシナリオである。
確かに過去はそうなった(QE1、QE2終了時)。しかし、今回はまったく逆の動きになっている。結果的に彼らのポジションは“大曲がり”である。11月17日の株価急落は、ヘッジファンドの「悪あがき」だったとの見方ができる。
いずれにせよ、年末相場の投資戦術は解散・総選挙があるし、先物に振り回されにくい銘柄にマトを絞る作戦が有効だろう。
具体的には、外国人観光客(中国人)に人気のラオックス <8202> [東証2]、セイコーHD <8050> 、株価にうねりが出てきたクラリオン <6796> 、増配・自社株買いを発表している三菱UFJ <8306> 、大商いのケネディクス <4321> などに妙味があろう。
2014年11月19日 記
(「株探」編集部)