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【特集】城南進学研究社 Research Memo(5):城南コベッツで業界初のFC教室への成績保証制度を導入


■業態ごとの事業戦略の詳細

(2)個別指導

城南進学研究社<4720>は2002年から個別指導をスタートさせた。当初は城南予備校内に個別指導コースを設置してのものだった。その後、2008年から「城南コベッツ」ブランドで個別指導の専門教室を展開して現在に至っている。運営方法は、当初は直営のみだったが2007年からはFC展開も行い、2013年12月初現在では、直営60教室、FC162教室にまで拡大した。

城南コベッツでは2008年から成績保証制度を導入した。当初は直営教室のみでの導入だったが、その後、FC教室にも拡大した。FCでの成績保証制度導入は業界初の試みであった。現在では成績保証制度は様々な塾・個別指導教室が採用しているが、「成績アップ保証」というイメージが生徒本人および保護者に与えるインパクトは今でも十分にあり、集客効果は依然として大きい。

(a)個別指導直営部門
直営の個別指導部門は、生徒数、売上高を着実に伸ばしている。2002年の開始以来、途中、教室のスクラップ・アンド・ビルドなども行いながら、着実に業容と収益を拡大させてきた。現在は首都圏と大阪、兵庫、三重で60教室を運営している。

城南コベッツの対象は小学生から高校生までと幅広いが、開始の経緯が城南予備校で高校生向けだったこともあり、開始からしばらくは高校生が圧倒的であった。10年超が経過した現在では、中学生の比率が高くなって高校生偏重ではなくなってきた。中学生の比率向上は、中学生から高校卒業まで、城南コベッツに滞留する期間が長期化することが期待できるため、経営的にはプラスであると評価できる。

中学生の構成比上昇は顧客構成の質が向上しつつあるということで一定の評価はできるが、小学生に目を向けるとまだ改善の余地があると言える。小学生については、開業10年経過後の2013年春の段階でも、10%程度にとどまっていた。同社の基本戦略が高校生から中学生、小学生と低年齢層に顧客を拡大し、児童・生徒を低年齢児から「城南」ブランドに囲い込むというものであることに照らすと、城南コベッツにおける小学生の構成比が10%というのは、物足りないと言わざるを得ない。

小学生の取り込み強化は、同社自身もその必要性を強く認識しているのは間違いない。2014年3月期上期には、小学生向けの「ジュニアコース」を開設し、集客強化に乗り出した。ポイントは受講しやすい時間帯の設置と継続しやすい料金設定にある。詳細は非開示だが、おおむね計画通りの集客に成功しているとみられる。小学生の単価は中高生に比較すると単価が低いため、小学生の比率が高まると売上の伸びの鈍化あるいはマイナスとなることも一時的には起こりうる。今上期はまさにそうした時期であった。しかしこれは、同社が掲げる囲い込み戦略に沿ったものであり、中期的収益成長のための投資であると理解すべきであろう。

(b)個別指導FC部門
個別指導のFC教室は2007年1月に第1号教室が開校して以来、急速な成長を遂げ、2013年12月初現在で162教室にまで拡大した。

同社はフランチャイザーとしてフランチャイジーから加盟金とロイヤリティを受け取る、一般的な形態だ。加盟金は一括150万円、分割180万円となっている。ロイヤリティは、生徒の入学金の50%、授業料の10%となっている。

FC展開をスタートした直後は同社自身及びFCオーナー双方の経験不足などもあって、開業早々に撤退するような例も見られたが、現在はオペレーションも安定してきているとみられる。過去には、経営的に苦しくなったFC教室を本体直営教室として引き取るケースも見られたが、ここ数年はそうした事例はまれであるようだ。

FC部門の収益は教室数の拡大ゆえに、高い伸び率を示している。2013年3月期の売上高は前期比25.3%増の223百万円だった。2014年3月期上期の売上高は前年同期35.8%増の110百万円となった。今後も既存教室の売上増加と新規FC教室開設が、この部門の収益を押し上げると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《FA》

 提供:フィスコ

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