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【経済】【中国の視点】李嘉誠一族による中国資産の処分、バーゼル3の導入に向けた準備か


香港の富豪である李嘉誠一族の傘下企業が今年7月から9月にかけて中国本土及び香港の不動産やデパートなどの資産を相次いで処分した。一族の傘下企業、長江実業集団(00001/HK)の郭子威取締役は、資産の大量処分について、リスク分散という企業戦略の一環だと説明した。

一方、中国本土の一部金融関係者は、郭氏の説明とは違う見方を示している。李一族が資産を処分し始めたのは7月で、これは米連邦準備理事会(FRB)が新銀行自己資本比率規制「バーゼル3」の導入に向けた最終規則を承認した時期と一致したと指摘。欧米銀行は来年初めからバーゼル3を導入するため、これが世界貿易流動性に影響を与えることが予測されている。中国へのリスク資金の流入が急速に縮小する公算が大きいため、不動産価格もそれによって急落する可能性があると警戒されている。

李一族の資産が膨大であるため、引受先を決めるには時間が要する上、バーゼル3が導入されてからの処分では間に合わないと指摘されている。

民間統計によると、北京市や上海市、広州市、深セン市の不動産空室数は前年末時点で約381万戸、400万戸、300万戸、200万戸と、2010年末時点の180万戸、220万戸、200万戸、100万戸を大幅に上回ったという。こうした膨大な空室数に加え、バーゼル3の導入に伴って国内金融システムの安定性が脅かされた時、住宅価格が予想以上に暴落する可能性があると警戒されている。

《ZN》

 提供:フィスコ

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