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3139 ラクト・ジャパン

東証P
2,534円
前日比
-2
-0.08%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.5 0.98 2.45 9.50
時価総額 254億円
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ラクトJPN Research Memo(5):2023年11月期は増収確保。機能性食品原料事業が軌道に乗り成長(1)


■業績動向

1. 2023年11月期の業績概要
ラクト・ジャパン<3139>の2023年11月期の業績は、売上高158,328百万円(前期比7.4%増)、営業利益3,184百万円(同7.2%増)、経常利益2,847百万円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,048百万円(同10.4%減)となった。国内では乳価引き上げ、円安による輸入原材料の価格上昇によって、乳製品全般で最終製品の値上げが行われ最終消費は鈍化した。乳原料・チーズ部門では、国産脱脂粉乳の過剰在庫対策による国産品の優先使用や円安の影響で、主要商品である輸入粉乳調製品の販売数量が減少したほか、最終製品の値上げによって需要が低迷したことで原料チーズの販売数量も減少し、部門全体で販売数量は前期を下回った。しかし、前期の原料相場高や円安の影響で販売単価が高水準で推移し、売上高は前期比13.2%増の111,845百万円となった。食肉食材部門は、外食を中心に業務用の豚肉の需要が回復したことで販売数量は前期比で増加し、販売単価も相場高と円安の影響で上昇したため、売上高は前期比20.7%増の18,268百万円となった。アジアにおいては、乳原料販売部門で日本向け粉乳調製品原料の販売数量が減少した。加えて、前期に伸長していた国産脱脂粉乳の輸出販売が余剰在庫対策の進展に伴い減少したこともあり、売上高は前期比29.1%減の18,922百万円となった。チーズ製造販売部門では、アジア各国で、景気が低迷している中国向けの需要が減少したことや、原料高を反映した価格改定の影響でプロセスチーズの販売数量が減少した。しかし、外食を中心にナチュラルチーズを加工したシュレッドチーズが好調であったため、全体の販売数量は前期をやや上回る水準を確保し、売上高は前期比21.2%増の4,828百万円となった。また、その他事業に含まれる機能性食品原料販売においては、プロテイン食品がスポーツニュートリションとしてだけでなく健康を志向する一般消費者向けにも拡大し、プロテイン原料の販売が伸長した。その結果、その他事業の売上高は前期比58.9%増の4,462百万円と成長した。

損益面では、チーズ及び食肉の仕入価格の上昇等による利益率低下に加え、原料チーズ価格の高騰によるアジアでのチーズ製造販売部門の利益率が低下したことで、粗利率は前期を0.1pt下回った。増収効果で営業利益は前期比で増益となったが、経常利益率は前期比で0.3pt下回り減益となった。期中の売上原価に対応しない為替影響額修正後の経常利益は前期比3.6%減の2,907百万円となった。期初予想に対しても、販売数量の減少と利益率の低下により、売上高は1.0%、経常利益は11.0%それぞれ下回った。

2. 事業部門別の動向
(1) 乳原料・チーズ部門
乳原料販売においては、乳価の値上げや円安による原材料価格の上昇により、乳製品全般で最終製品の値上げが行われ最終消費は鈍化した。しかしながら、外食・レジャー産業が回復したことで業務用の乳製品販売は底堅く推移した。なかでも土産品など観光需要の回復で、チョコレートや菓子の原料となる全粉乳、乳糖、ココア調製品などの販売数量は回復した。一方、官民一体となった国産脱脂粉乳の過剰在庫対策事業により国産品への置き換えが進んだ影響で、同社の主要取扱商品である粉乳調製品の販売数量は減少した。チーズ販売においても、外食向けをはじめとした業務用需要は回復したものの、最終製品の値上げにより小売需要が冷え込んだことから販売数量は減少した。部門全体の販売数量は前期比8.5%減の167,421トンとなったが、販売単価は前期の相場高や円安の影響により高水準で推移したため、売上高は前期比13.2%増の111,845百万円となった。

(2) 食肉食材部門
最終製品の値上げによる家庭用需要の伸び悩みがみられたものの、外食を中心とした業務用需要が回復したことで、主要商品であるチルド・フローズンポークの販売が好調だった。輸入豚肉市場においては、欧州産豚肉の市場価格が上昇するなか、同社のメイン商材である北米産豚肉が価格優位性を持ち、販売が堅調に推移した。また、主要仕入先である米国Seaboard Foods社では、前期にコロナ禍による労働者不足のため生産量が制限され同社の販売も影響を受けていたが、人材確保が進んだことで生産体制が徐々に回復しており、チルド・フローズンポークの供給量が十分な水準となったことも背景にある。加工食品の販売においては、円安による調達コストの増加を理由に販売先が商品の調達を見直す動きがあり、生ハム・サラミなど販売数量が減少した商品もあったが、2023年11月期から取り扱いを強化した鶏肉及び鶏肉加工品が、スーパーの総菜や全国展開のフードコートメニューの原料として採用されたため、加工食品全体の販売数量は増加した。その結果、部門全体の販売数量は前期比13.5%増の28,125トンとなった。販売単価も、豚肉の相場高、円安の影響から高値で推移し、部門全体の売上高は前期比20.7%増の18,268百万円となった。

(3) アジア事業(乳原料販売部門)
日本での脱脂粉乳過剰在庫対策事業の影響を受け、日本向けの粉乳調製品原料の販売数量が減少するとともに、前期に拡充した日本産脱脂粉乳の輸出が減少した。また、現地向け販売も中国の景気低迷やインフレ進行による食品需要の低迷を受けて販売数量は減少した。その結果、部門合計の販売数量は前期比26.1%減の37,251トンと大きく落ち込んだ。乳製品の国際相場は、急上昇した前期に比べて落ち着いてきたこともあり、売上高は前期比29.1%減の18,922百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

《SI》

 提供:フィスコ

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