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【市況】国内株式市場見通し:日米首脳会談の動向を注視、業績相場の助走期入り

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■シリア情勢が新たな懸念に、日経平均は堅調

先週の日経平均は上昇。3月27日から続く21000円台のボックス相場内での動きだったものの、10日と13日に21900円台を突っかける場面があるなど、もちあい商状ながらも強い基調が展開された。一方で中国の習近平国家主席が自動車など一部製品の輸入関税を引き下げる方針を表明して米中間の貿易摩擦リスクが後退し、米国市場ではNYダウが堅調なスタートを切った。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)による米議会での公聴会証言を通過し、アク抜け感からフェイスブックが値を戻したことも地合い好転につながった。シリア情勢の緊迫からNYダウは11日に下げるものの、翌日にはその下げ幅を取り戻す反発をみせている。東京市場も、米中の貿易摩擦懸念の後退と米国株高、円高一服を受けて、続伸のスタートとなった。しかし、国内政治、シリア情勢の懸念などから全般の上値も重く、小売り大手のJ.フロントリテイリング<3086>決算への失望感などから日経平均はその後下げに転じた。ただ、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)復帰検討が好感されたことに加え、事前予想を上回る決算と増配を発表したファーストリテイリング<9983>は買い一巡後に利食いに押される一方、ハイテク株などを見直す動きに向かい、13日の日経平均は3日ぶりに反発、週間ベースでは3週連続の陽線となった。

■日米首脳会談がスケジュール・ポイント

今週の最大のポイントは、17日から18日の首相訪米による日米首脳会談となる。北朝鮮問題を除くと、日米FTA(2国間自由貿易協定)交渉開始要求や為替・金融政策に批判的な言及が米国側からあった場合、為替の円高進行や株式市場がネガティブに受け取る可能性がある。また、安倍首相の内閣支持率にも影響を与えることにもなるだけに注目度は大きい。日米首脳会談が穏健に終了した場合、日経平均は戻りを試す展開となり、2月28日以来となる22000円台の回復に向けたトレンド形成が期待される。一方、首脳会談がネガティブ視されるようだと、21000円台のボックスを維持できるかに焦点が移るほか、主要ハイテク企業を皮切りに25日から本格化する決算発表への警戒感が強まることが懸念される。12日のファーストリテイリング<9983>の決算発表で内需関連株の物色は目先の峠を越え、本格的な業績相場にシフトする助走期に入ろう。

■海外投資家の買い転換を確認

4月第1週の投資主体別売買動向では、海外投資家が株数ベースで13週ぶりに買い越しに転じた。1月第2週から続いた海外投資家売りは、約9.4兆円で一巡し、本格的とまではいかないものの日本株買いに転じている可能性がある。裁定買い残は3月23日をボトムにして増加基調にあり、空売り比率も過去最高となった3月23日をピークにして高水準ながらも減少傾向に転じていることなどから、需給面では基調の変化も読み取ることができる。テクニカル的には上昇してきている5日線が引続き支持線として働いてくるかが焦点となる。

■20日にG20財務大臣・中央銀行総裁会議、HEROZがIPO

日米首脳会談をのぞいたスケジュールでは、米国景気の動向を確認する経済指標のほか、IPO、外交面でイベントを控えている。米国では、16日に3月小売売上高、4月NY連銀製造業景気指数、17日に3月住宅着工件数、3月鉱工業生産・設備稼働率、18日は米地区連銀景況報告(ベージュブック)、3月CB景気先行総合指数と景気・経済動向判断の指標が相次いで発表される。この他、17日に中国が1-3月期GDP、3月鉱工業生産を発表、20日はG20財務大臣・中央銀行総裁会議がワシントンで開催される。国内では、18日に3月貿易統計、鈴木日証協会長会見、19日にモスクワで日露戦略対話、20日には3月消費者物価指数の発表を控え、前人気が高い人工知能(AI)関連企業のHEROZ<4382>がマザーズ市場に新規上場する。AI関連株物色のすそ野が広がる展開が期待されよう。

《FA》

 提供:フィスコ

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