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【特集】桂畑誠治氏【夏相場の鍵握る“日銀会合・企業決算”】(3) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 週明け25日の東京株式市場は、前場に外国為替市場での円安進行などを追い風に、買い優勢で推移する場面があったものの、後場に入ると戻り売りに押される展開で日経平均株価は小幅ながら続落で引けた。今週は日銀の金融政策決定会合に加え、4-6月期決算の発表が本格化する。こうしたイベントを踏まえて、第一線の市場関係者に今後の株式相場の見通しを聞いた。

●「ガイダンスリスク限定的も弱含み」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 今後本格化する国内企業の四半期決算が、全体観として株価にポジティブに働く可能性はないが、輸出株を中心に厳しい数字もしくは見通しとなる点について株式市場はある程度織り込んでおり、その点ガイダンスリスクは限定的といってもよいと思われる。

 ただし、参院選後の急速な株価上昇はその反動をもたらすことも念頭に置いておきたい。7月11日以降の一本調子の株高は、安倍政権の財政出動への期待のほか、思惑先行で浮上した日銀のヘリコプターマネーに対する期待感も背景にあるとみられるが、ヘリコプターマネーは実際のところ実現が極めて難しい方策であり、日銀の金融政策決定会合後、全体相場は下押す可能性に注意したい。どういう金融政策を打ち出すかは重要だが、マーケットの期待はハードルが高く、(金融政策決定会合後に)強い相場が構築されるような展開はイメージしにくい。日経平均は1万6000円台を巡る攻防まで水準を切り下げる公算が大きいとみている。

 ただ、米国株が引き続き強い動きを維持した場合、世界的なリスクオンの潮流が形成され、その流れのなかで為替の円安とセットで日本株も強含むケースが考えられる。その場合は、自動車電機など輸出株に物色資金が向かいそうだ。株式需給がうまく回転すれば日経平均が1万7000円台に乗せる場面があっても不思議はない。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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