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【特集】爆騰!ポケモノミクス相場、上昇第二幕入り <うわさの株チャンネル>

「ポケモンGO」遂に日本でも配信開始、驚異的大商いの任天堂と関連株はどこまで行くのか――。

●「ポケモンGO」遂に国内配信でエンジン再点火

 22日の東京株式市場では日経平均株価が反落、1万7000円大台を前に足踏み状態となっているが、相場の体感温度はむしろ上昇、沈滞ムードとは無縁のダイナミズムが市場を駆け巡った。任天堂とその周辺銘柄に大口の投機資金が流入し、再び“ポケモノミクス相場”がエンジン全開の様相を呈している。

 米国をはじめ海外で社会現象化するほどの空前の大ヒットとなっている「ポケモンGO」の日本での配信が待ち望まれていたが、この日の前場取引時間中に配信開始となり、これを号砲に任天堂 <7974> を中心に関連銘柄を集中物色する動きが強まった。

 任天堂は朝方安く始まったものの、その後すぐにプラス圏に切り返す展開となっていたが、国内配信開始が伝わるや上げ足を加速、一時1920円高の2万9920円まで上昇。その後は目先筋の利益確定の動きに伸び悩み一時マイナス圏に沈んだとはいえ、最後には売り物をこなし切りプラス圏で着地した。

●驚異的な時価総額の拡大

 売買代金は驚異的な膨張を続け、前引け段階で4396億円に達した。同社株は今月14日にザラ場4000円を超える上昇で記録的商いをこなし脚光を浴びたが、その時の終日ベースの売買代金が4303億円。この日は前場だけでその時の水準を上回ったことになる。後場はやや勢いを弱めたものの、それでも7260億円は自身が前々日に記録した歴代1位の7323億円とほぼ並んだ。

 任天堂の株価は6月下旬から1万4000円を軸とするもみ合いを繰り返してきたが、七夕を境に流れが変わり、7月8日にマドを開けて1万6000円台に買われ今回の快進撃が始まった。15日には、売買代金が東証1部に上場する銘柄として過去最高の4760億円に達し話題を集めたものの、それはまだ序の口だったことになる。

 株価は19日に3万2700円の高値をつけ2010年4月以来、6年ぶりの高値圏に到達。営業日ベースで七夕からわずか7日で時価総額を2兆5000億円も拡大させた。国内中堅証券の営業マンも「平均すると毎日3500億円ずつ時価総額が膨らんでいく。こんな例は後にも先にも出てこない。個人投資家マインドにも強烈なインパクトをもたらした」と驚きを隠し得ない。これもすべてポケモンGO効果によるもので、その威力たるや恐るべしである。

●雨宮京子、植木靖男の両識者はこうみる

 経済ジャーナリストで銘柄発掘力に定評がある雨宮京子氏は、「(ポケモンは)子供のころからの延長で10代後半から20代前半の世代で熱狂的な人気。偏差値とは別次元の話でポケモンサークルのない大学は受けないという受験生も多い。機関投資家もさすがにプロで、ポケモンGOの米国での人気が取り沙汰される前の任天堂の株価が1万4000~5000円台で、仕込みに入っていたファンドもかなりの数存在している」と指摘する。また、「どんなに勢いがあってもゲーム関連の人気は水モノなので、人気が離散した時の反動は怖い」としながらも、「少なくとも今は空売りを考える段階ではない」という見方だ。

 個人投資家から支持を得ている株式評論家の植木靖男氏は今回の任天堂の値動きについて、「本来ならば過熱感が意識され、売り場探しのタイミングとなるところだが、今回については例外のようだ。個人投資家だけでなく海外のヘッジファンドなども参戦し、久々の全員参加型相場が繰り広げられている」と分析する。ただ、「“歩きスマホ”の弊害が強く意識されている現在、これを助長するゲームであることは確かであり、誰もが感じていることだとは思うが、株式市場目線でもこれがポケノミクス相場のアキレス腱となる可能性がある」とも指摘する。これは雨宮京子氏も共通の考え方を示している。

 そのなか、スマホ画面を見ていなくても近くにいるポケモンの存在を知らせるリストバンド型の周辺機器「ポケモンGO Plus」に注目が集まっており、これについて市場関係者の間では「月内の発売も噂される中で、表現は悪いけれど“歩きスマホ”の弊害を逆手にとるかたちでメガヒットが必至となりそうだ。同商品の売り上げについてはすべて任天堂に入ることになることで収益面の恩恵も大きい」(国内準大手証券ストラテジスト)という声がある。

●周辺銘柄の物色人気もモンスター級

 また、株式市場にこれだけの高揚感をもたらせている理由として、投機資金の流入が任天堂1銘柄のスタンドプレーにとどまっていないことも大きい。特筆に値するのは「ポケモノミクス」という造語に象徴される周辺株への波及効果だ。

 任天堂を太陽にその周りを回っている惑星銘柄の株価上昇パフォーマンスは“凄い”の一言に尽きる。

 例えばサノヤスホールディングス <7022> は22日時点でザラ場を含めると6日連続ストップ高という異色人気で700円台後半まで買われ、最高値街道をまい進している。低位の造船株である同社がこれほどの人気となった理由は、子会社が「ポケモンEXPOジム」を昨年開業したこと。「これだけの理由で?」と不思議に思うのは投資家として当然の感覚であり、これは急増する信用取引の売り残にも反映されている。ところが、PERが200倍を超えても株価の上昇は止まらない。損失拡大を受けた空売り筋が、たまらずに買い戻す「踏み上げ相場」の典型となっている。

 サノヤスHDと同様に物色人気で先駆するイマジカ・ロボット ホールディングス <6879> は、ポケモンが登場するアニメを製作する子会社を擁することが投機資金の食指を動かした。信用取組はやはり売り買い拮抗しており、ファンダメンタルズとは離れた需給相場の様相を呈している。この日は2年9ヵ月ぶりに上場来高値を更新した。

 また、プリント配線板メーカーのシライ電子工業 <6658> [JQ]は任天堂が同社株式の2.4%を保有する大株主に入っていることから、ポケモノミクス関連の穴株としてにわかに頭角を現した。この日はカイ気配でスタートし、わずか開始25分でストップ高気配に張り付き、大引けまで寄らずに比例配分となった。4日連続のストップ高である。まさに問答無用の上げ足をみせつけている。

●マクドナルドも15年ぶりの高みに

 ポケモンGOとのコラボレーションを発表したことで、買いを集めているのが日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]だ。22日付で、ポケモンGOとの単独ローンチパートナーシップを締結し、国内のマクドナルド全店舗(約2900店舗)が他プレーヤーと戦う「ジム」やゲームを進めるためのアイテムを手に入れる「ポケストップ」になることを発表している。市場関係者は「期限切れ鶏肉を使用していた問題や、異物混入問題などでこれまで顧客離れに悩まされたが、今回の連携は顧客誘致につなげる材料としては最強といってもよい」(準大手証券ストラテジスト)という見解を示す。株価は7月中旬以降の急騰で、既に15年ぶりの高値圏に到達している。

●間欠泉のごとく噴き上げる銘柄群

 そして、関連銘柄はさらに横に広がりをみせている。ポケモンGOを開発したナイアンティックに出資しているフジ・メディア・ホールディングス <4676> や、「ポケモンパン」を製造する第一屋製パン <2215> 、子供向けアーケードゲーム「ポケモンガオーレ」を展開するタカラトミー <7867> 、マーベラス <7844> などに加え、電子部品サプライヤーのミツミ電機 <6767> 、ホシデン <6804> などが上値を伸ばしていたが、直近では「ポケモンGO」の国内配信が開始されたことで、携帯電話の充電器や電池メーカーにも物色資金が流れ込んでいる。22日はHamee <3134> [東証M]、エレコム <6750> が急騰したほか、アイ・オー・データ機器 <6916> 、FDK <6955> [東証2]などはストップ高まで買われ存在感を示した。

(中村潤一)


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