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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 増税延期・米利上げ観測テコに浮揚!

株式アドバイザー 北浜流一郎

「増税延期・米利上げ観測テコに浮揚!」

●安倍首相アピールのためのサミット

 伊勢志摩サミットがテロや事故など思いがけないアクシデントが起きることなく終わったことをまずは喜びたい。成果について、大きな期待を持った人は少なかっただろうから、市場への影響もほとんどなかったことも歓迎できる。

 ただ大満足だったのは安倍首相であろう。首相は「いまの世界経済はリーマン危機前に似ている」と指摘、その根拠をデータを掲げて説明してみせた。それによると、最近のエネルギーや食料など商品価格が14年以降、リーマン危機前後と同じ55%下落、新興国の投資や経済成長はリーマン危機以来の落ち込みを示していた。

 首相が示したデータは決して間違いではなかったものの、通常、書店に山積みになっている経済危機説本と類似の主張を安倍首相がするとは思わなかっただけに、各国首脳たちも驚いたのではないか。

 正直私も、信じられなかった。しかも首相は、08年リーマンショック直前に開催された洞爺湖サミットで、当時の首脳たちが不動産バブルを見逃し、世界は経済危機に陥った事実を持ち出し、今回も同様のことになってはならないとまで口にしたのだ。

 しかし、これには各国首脳たちも、ミスター安倍の国内向けのアピールだろうと安堵したに違いない。

●国内消費関連に引き続き注目

 実際、安倍首相の明らかに強引ともいえる提言は、国内向けのメッセージと受け止めるのが理解しやすい。つまり消費税増税先送りの理由を明確にし、財政出動に道を開く。同時にアベノミクス失敗論を封じ込める。

 こんな意図が透けて見えるものになったとみてよい。

 そのため、市場は今後は消費税引き上げ先送りの決定に期待することになる。それは経済の失速を防ぐ役割を果たしてくれると見るのが自然で、引き続き国内消費への依存度が高い銘柄の上昇確率が高くなる。

 外部環境も幸いそれをサポートする形になる可能性が高い。市場は今後、米国の6月利上げに関心を向け、日々、利上げがあるかないかの観測合戦を繰り広げるからだ。

 利上げ実施説が強まればドル高・円安になるのだから、東京市場にはプラスになる。しかも、原油先物価格も着実高を続けているため、これまた東京市場には株価支援材料だ。

 そこで、このような状況下、注目したい銘柄は前述したように国内消費への依存度が高いという観点から、水産最大手のマルハニチロ <1333> 、ネットでの衣料品販売好調に加え、自らのブランドを立ち上げるスタートトゥデイ <3092> 、官公庁や企業の福利厚生業務の運営代行に強いベネフィット・ワン <2412> [東証2]、住宅の一次取得者向け販売に強いケイアイスター不動産 <3465> [東証2]がある。

 そして最後にカリスマ経営者が去り、新社長が就任したセブン&アイホールディングス <3382> を。すぐにはどんどん上がらないが、緩やかな浮上なら見込める。

2016年5月27日 記


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