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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:消費増税延期、OPEC総会、米雇用統計

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限17200-下限16700円

来週は週末に米雇用統計の発表を控え、米利上げ実施への思惑等に振らされやすいだろう。週末に行われた米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演では、今後数カ月に利上げすべきとの認識を示した。これにより市場では、6月または7月の利上げの可能性が高まっている。雇用統計については、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズの従業員によるストライキの影響により、4月実績の16万人増を下回る可能性があるとみられている。この影響については織り込まれているとみられ、16万人前後であれば嫌気されることはなさそうだ。

また、石油輸出国機構(OPEC)総会が2日に予定されている。加盟国が生産調整でまとまるのは難しいとみられており、減産合意につながると見る向きは少ないだろう。足元で節目の50ドルを回復していることもあり、織り込まれているとはいえ、不調となれば一気に調整が強まる可能性もありそうだ。

その他、安倍首相は通常国会会期末の6月1日にも、消費増税先送りを表明する可能性がある。現在の地合いでは増税先送りが評価されそうだが、市場では既に織り込み済みとの見方もある。一方で、消費増税の延期によって税収が伸びず、財政健全化が進まない可能性から日本国債の格下げリスク等が警戒されてくる可能性はある。そのため、市場反応を見極めたいとする模様眺めムードのなか、出来高は膨らみづらいだろう。さらに、英国のEU(欧州連合)離脱問題による不透明感も強い。

物色の流れとしては個人主体の中小型株にシフトしやすいだろう。AIや自動運転、有機EL、フィンテック、VR/ARなどの循環が意識される。とりわけ、フィンテックについては先週、ビットコインなどの仮想通貨を実際の通貨と交換する業者を登録制とするなどの規制を盛り込んだ法律の改正案、フィンテックと呼ばれる新しい金融サービスの普及を後押しする規制緩和が盛り込まれた銀行法の改正案が参議院本会議で可決・成立した。このところはフィンテック関連の物色が落ち着いていたこともあり、仕切り直しが意識されよう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は、底堅い展開か。米早期追加利上げに向けて6月3日発表の5月雇用統計の内容が注目される。雇用情勢の改善が続いていることが示された場合、6月利上げを織り込む展開となり、ドル・円は112円近辺まで上昇する可能性がある。

ただ、原油高は一服しつつあることや、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票(6月23日実施)の行方が意識されており、1ドル=111円台では短期筋などによる利益確定のドル売りが増えるとの声が聞かれている。また、国内輸出企業の間では110円台でドル売り予約を実行する動きが出始めており、ドルの過度な上昇は見込みにくい。


■来週の注目スケジュール

5月30日(月):ユーロ圏景況感指数、独消費者物価指数、米英市場は休場など
5月31日(火):鉱工業生産指数、住宅着工件数、ユーロ圏失業率、米個人所得など
6月 1日(水):法人企業統計調査、中製造業PMI、米ベージュブックなど
6月 2日(木):消費態度指数、ECB政策金利、米ADP全米雇用報告など
6月 3日(金):中財新総合PMI、米非農業部門雇用者数など

《TM》

 提供:フィスコ

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