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【特集】高橋春樹氏【日銀ショック! 大荒れマーケットを読む】(1) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品副本部長)

 28日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比624円44銭安の1万6666円05銭と急落。28日まで開催された日銀の金融政策決定会合の内容が“現状維持”となったことで、株式市場では失望売りが膨らみ大幅安となった。外国為替市場では1ドル=107円台後半へと円高・ドル安が進行している。今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「極端な円高なければ上昇軌道復帰へ」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品副本部長)

 日銀の金融政策決定会合の結果が「現状維持」と発表されたことが、かなりのサプライズだったことは確か。日経平均が600円を超える大幅安となったことで、追加緩和期待で買い進んだ部分の大半は消失し、ほぼ元に戻った感じだ。今後は、本格化している3月期決算企業の業績発表内容を反映しながらの地に足がついた相場展開が予想される。

 ポイントは、やはり外国為替市場での円相場の動向となる。円が1ドル=110円前後以上の円安ゾーンで推移できれば、17年3月期の会社側の業績見通しが通期で上方修正される可能性も出てくる。既に決算発表を終えた企業の17年3月期の想定為替レートを見ると、多くは1ドル=105~110円の範囲内となっている。過去20年間の毎年1年間の円・ドル相場の変動幅の平均を調べると17円幅となっている。今年はすでに14円幅の変動をみせており、ここから大きく円高が進行する可能性は少ないのではないか。

 これまで、日本株にとってのリスクオフ要因は(1)中国経済の先行き不安、(2)米国の利上げに絡む不透明感、(3)原油価格の低迷、(4)外国為替市場での円高傾向――の4点だった。これらの4要素のうち、円高懸念以外は、ほぼ解消されつつある。したがってここから、極端な円高進行がなければ、日経平均は上昇軌道に復帰する可能性が高い。

 今後の日経平均は、1万6000円水準での下値固めを経て夏相場での1万8000円台回復、年末までには1万9000円台乗せという、従来の中期見通しは変わらずに堅持したい。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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