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【特集】鈴木英之氏【暗雲振り払えるか、新年度相場!】(2) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 3月も中旬を過ぎ、東京株式市場もいよいよ期末の着地点を意識する展開となってきた。同時に4月から始まる新年度相場の行方にマーケットの思惑が錯綜する。金融や財政などアベノミクスへの政策期待も絡め投資家の興味は17年3月期の企業業績に向かう。外国人投資家の売り攻勢や足もと激しく動く為替動向を横目に、方向感が定まらない株式市場の新年度の足取りはどうなるのか、市場第一線で活躍する関係者に聞いた。

●「新年度に向け株価は回復局面へ」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 急激な円高が進んでいるが、新年度に向けて日本株への再評価も期待できそうだ。日経平均株価のレンジは、今後1カ月程度では1万6500~1万8000円前後。新年度の1年間をにらめば、2万円を回復する場面はあるとみている。

 日経平均株価採用企業の1株当たり利益(EPS)は1170円前後であり、これをPER約14倍で買えば、1万6500円前後が適正水準となる。

 マイナス金利下では、借金をしてでも割安な自社株を買うようなことも合理的とみなされる。こうしたなか、新年度は、自社株買いやM&A(合併・買収)の動きもより活発化が見込める。

 足もとの円高は、輸出企業を中心に業績の悪化要因となる。しかし、今年度の業績は資源・エネルギー企業の減損による特別損失の計上で落ち込んでいる面もある。新年度はこの資源・エネルギー企業の特損分がなくなるほか、自社株買いによる影響でEPSの落ち込みはカバーされることも期待できる。

 年度末で円高が進み、その水準で新年度の想定為替レートが組まれても、新年度に入り、円安方向に為替が動けば、その分がのり代となり、増益要因となろう。

 3月第2週に外国人が大量に売り越した。売り越した具体的な主体などが分からないと理由も判然とはしないが、新年度は外国人より国内投資家の動向に期待している。

 新年度の注目テーマは「自社株買いが期待できる銘柄」、「自力で増益が達成できる銘柄」、「高配当利回り銘柄」など。また、いま注目されているフィンテックやIoT(インターネット・オブ・シングス)関連銘柄への物色も続きそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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