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【特集】「日銀追加緩和見送り、今後の展開は?」(1) 窪田朋一郎氏に聞きました! <直撃Q&A>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 15日の日銀金融政策決定会合では、金融政策は「現状維持」が決定された。一部で根強く出ていたサプライズ緩和は結局、見送られたが、今後に対しては依然、追加緩和を実施するとの観測は根強い。市場関係者は、日銀の政策動向をどう評価し、次回の緩和はいつ行われるとみているのか。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏に今後の見通しを聞いた。

●窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

Q1 今回追加緩和が見送られた理由は?

 前回の金融政策決定会合でマイナス金利導入を決めたが、実施されたのは2月16日からで、1カ月弱の期間では政策効果を確認する段階にはない。したがってこのタイミングでマイナス金利幅を上乗せすることは時期尚早といえる。また、前週のECB理事会で追加緩和が行われたが、ドラギ総裁がこれ以上のマイナス金利拡大の必要性に否定的なコメントを残しており、これも日銀の金融政策に水面下で影響を与えていると思われる。

Q2 次の緩和があるとすれば、その時期と方法は?

 具体的な時期というよりも、株価が波乱安展開に見舞われた時はその対応としてカードを切る可能性がある。その際はETFやREITの買い入れ枠拡大という量的緩和が選択肢となりやすい。FRBは6月利上げに動く可能性があり、これが市場で強く認識された場合、株価は世界的に下値模索を強いられる懸念が出てくる。国内では夏の参院選挙(もしくは衆参ダブル選挙)を控え、株価の動向には神経質とならざるを得ない。日銀の追加緩和はFRBの金融政策に伴う下落リスクとの見合いで温存される可能性がある。

Q3 当面の株式相場と為替相場をどう見ますか?

 マイナス金利は劇薬であり、個人的には2%の物価上昇目標への効果も薄いと当初から主張している。とはいえ足もとの東京株式市場は戻り相場の色彩が強く、3月期末までのタームで日経平均1万7000円台半ばくらいの上値が視野に入りそうだ。また、為替に関してはドル円で1ドル=115円程度まで円安に振れる余地がある。外国人投資家は年初から日本株を大きく売り越してきたが、ここにきて買い戻しを急いでいるという感触はないものの、売り圧力は軽減している。一方、信託銀行経由でGPIFのリバランスの買いが継続しており、全体相場の下支え役を担うことが想定される。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券シニアマーケットアナリスト。松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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