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2016年03月16日20時00分

【特集】建設株、燃え上がる“株高シナリオ” <株探トップ特集>

コンベヤの日足チャート 「株探」多機能チャートより

―有望株「宝庫」、政策テーマ乗り戻り相場牽引へ―

 16日の東京株式市場ではここ円高含みに推移する為替が重荷となって利益確定売りに続落となったが、日経平均株価は週初にザラ場ベースで1万7300円近くまで上昇し、約1カ月半ぶりの高値をつけるなど、ひと頃の波乱相場からは脱却した印象を受ける。

 地合いの落ち着きを背景に、企業のファンダメンタルズなど株式投資本来の視点に立ち返る動きが出るなか、収益環境の良好さが際立つセクターとして、急速に頭角を現しつつあるのが建設株である。今、来期の好業績見通しに加えて政策テーマにも乗る建設株は、ここからの戻り相場を牽引する有望株の宝庫といってよさそうだ。

●ゼネコンは来期も順風満帆

 大手ゼネコンの業績を見れば一目瞭然、物色資金を引き寄せるのもうなずける。16年3月期は大成建 <1801> が本業の儲けを示す営業利益段階で19%増益、大林組 <1802> が65%増益、清水建 <1803> が62%増益予想と絶好調、前期減益で発射台が低かった鹿島 <1812> については4.5倍の高変化が見込まれている。大手4社に共通するのは、完成工事利益率の急速な改善に加え、資材の調達コスト低減や労務費の上昇一服といった損益面のプラス変化だ。完成工事利益率の改善は不採算案件の減少と選別受注の推進によるもの。また、公共工事が一服局面にあることで人件費の高騰が前期で一巡していることも大きい。資材コストは鉄や非鉄など商品市況の下落が追い風となっている。

 もちろん、マーケットの視線は既に来期に向いているといってよいが、17年3月期についても豊富な手持ち工事を背景に大成建、大林組、清水建、鹿島いずれも増益基調に変化はないとみられており、16年3月期予想ベースでPER14~17倍近辺に位置するゼネコン各社は指標面からも割高感は乏しい。

●有力銘柄ひしめく、日コンベヤは大上放れの様相

 大手ゼネコンだけではない。財務良好でトンネル工事など土木系が得意の西松建 <1820> や、同社と技術提携し建築部門中心に採算改善の続く戸田建 <1860> 、官公庁向け案件に強く、シールド工法など大深度地下工事で実績を有する大豊建 <1822> 、医療や物流施設など民間建築で実力を発揮するナカノフドー <1827> 、グループ力を背景に民間の大型建築に活路を開く前田建 <1824> など、今、来期と収益成長の続く実力派の準大手・中堅クラスがひしめく。各社とも大手ゼネコンと比較してPERの割安さが目立っており、そのぶん株価の水準訂正余地の大きさが意識される。このほか、カナモト <9678> 、西尾レント <9699> など建機レンタル会社にも商機が巡りそうだ。

 また、ここにきて株式市場でにわかに存在感を高めているのが、トンネル掘削工事などで発生する残土運搬用の大容量コンベヤーを手掛けるコンベヤ <6375> だ。低位材料株物色人気に乗り、既に大上放れの様相をみせている。

●政策面の思惑も株高を支援

 今後、中長期的にも建設セクターに順風環境が続くことは大きな買いの根拠となりうる。首都圏を中心とした都市再開発の動きに加えて、2020年の東京五輪に絡む大型案件などが関連各社にとって力強い業績拡大の足場となる。さらに、2027年に開業を目指す品川―名古屋間の全長285キロメートルにおよぶ超ビッグプロジェクト「リニア中央新幹線」は現在進行形の支援材料だ。既に難関の山梨工区・南アルプストンネルの着工が始まっているが、今後一段と受注が本格化していく見通しにある。

 市場関係者も建設株の投資妙味について指摘する声は強い。株式評論家の植木靖男氏は「今年は5月に伊勢志摩サミットがあり、7月に参院選が予定されていることから政府としても腰を入れた景気刺激策をアナウンスする必要性に迫られている。早晩、16年度予算が成立することになるが、その後に補正予算の話などが浮上することが想定され、大手ゼネコンをはじめとする建設株は要マークの対象」という。

 また、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「安倍首相は16日から開催した有識者による『国際金融経済分析会合』で消費増税先送りに向けた地ならしを始めている。日銀の金融政策の限界も指摘されるなかで、財政面によるフォローの蓋然性が高まっており、増税先送りに加え、5兆円規模といわれる補正など財政出動に踏み込むとの観測が、建設株への投資意欲を高めている」との見解を示している。

 米国の利上げが足もと先送りされ、日銀の緩和策もままならない現状では、為替相場がドル安・円高方向に振れるとの懸念もくすぶる。そのなか、建設株は円高による収益デメリットから解放されていることも大きい。収益機会の広がりを拠りどころとする建設セクターの株高シナリオはこれからが佳境入り、今はまだ序章の段階に過ぎない。


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