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2016年03月04日20時00分

【特集】「仕込み場」到来、マイナス金利で大変貌目前“不動産株” <株探トップ特集>

サンフロンティア不動産の日足チャート 「株探」多機能チャートより

―金利敏感セクターに吹く追い風、中核から穴株まで一挙紹介―

 全体相場がバランスを取り戻すなかで、企業のファンダメンタルズを改めて投資の判断材料とする動きが出そうだ。その筆頭に挙げられるのが不動産関連株であり、その上値余地に注目する動きが再燃している。

 4日の東京株式市場は、前日までの急速な戻りを受けて軟調展開で始まったものの、日経平均は底堅さを発揮してプラス圏に切り返し、2月8日以来約1カ月ぶりとなる1万7000円大台を回復した。

●「踊り場」は「仕込み場」

 年初からの波乱相場に投資家も翻弄され続けたが、ここにきて漸く底入れ反転に向けた潮目の変化が確認できる状況となった。為替のドル安・円高が一服したことが大きいとはいえ、物色の流れは銀行株を中軸とする内需株優勢の地合いとなっている。株安の理由のひとつとして悪材料のレッテルを貼られた感のあるマイナス金利だが、銀行株への収益圧迫懸念がクローズアップされる一方、不動産株をはじめとする金利敏感セクターには収益環境に追い風をもたらす材料として認知されている。中期の実需的な買い主体である機関投資家にすれば、銀行はマイナス金利環境が続く限り当分見送り対象だが、不動産は買いであるというコンセンサスが醸成されやすい。

 市場関係者の間でも「足もとこそ、不動産株は上昇一服感が出ているものの、この踊り場は絶好の仕込み場となる可能性が高い」(国内準大手証券)という見方が根強い。

 日銀が1月29日の金融政策決定会合で導入を決定したマイナス金利は、2月16日から実施されている。その後の市場金利の低下は周知のとおりである。2兆円規模の有利子負債を抱える三井不 <8801> や菱地所 <8802> をはじめ、不動産セクターにとって金利負担の低減は大きなメリットである。加えて調達金利の急低下は利益採算を向上させ、国債利回りの低下を背景に投資資産としての不動産の優位性も浮き彫りにする。2020年の東京五輪開催に向け、今後も首都圏を中心に中長期的なトレンドとして地価が上昇傾向を続ける可能性が高いこともポイントだ。

 さらに銀行の相次ぐ住宅ローン金利引き下げの動きも住宅需要を下支えし、不動産セクターの収益環境を側面支援するかたちとなる。1月の首都圏の新築マンションの月間契約率は59%にとどまり、7年半ぶりの低水準に落ち込んだ。しかし、ここ最近の住宅ローンの引き下げ合戦は、その流れにピリオドを打つ強力な材料となる。実際、大手主要銀行8行の2月の住宅ローン借り換えは前年同月比2.5倍と飛躍的に拡大した。マイナス金利の家計へのメリットが顕在化するなかで、不動産セクターには今後も順風が吹き続ける。

●存在感大きい三井不と菱地所

 そのなか、業界の双璧である三井不と菱地所はシンボルストックとして注目が怠れない。三井不は賃貸事業、分譲事業、仲介・管理を行うマネジメント事業の3部門とも好調で16年3月期営業利益は前期比5%増の1950億円を見込むが上振れの可能性がある。

 また、菱地所は“丸の内の大家さん”の異名を持つビル賃貸業の大手。大型ビルの開業に伴う費用が重荷となって、16年3月期営業利益は前期比微減を予想しているが、来期は「大手町グランキューブ」や「大手門タワー」などのフル稼働で収益回復に向かう見通し。

●流動化関連に活躍余地

 サンフロ不 <8934> は都心を中心に不動産流動化ビジネスを手掛け、中古ビルを買い取り、付加価値をつけてから売却する事業が好調に推移し業績を押し上げている。16年3月期の連結営業利益を従来予想の63億円から73億円(前期比25%増)へ、純利益を53億円から72億円(同43%増)に増額している。PERや配当利回り面からも割安感が強い。

 このほか、不動産流動化関連としては、富裕層向けに投資物件を売却するレーサム <8890> [JQ]や都心を事業基盤に中小型物件でファンドを組成するトーセイ <8923> 、関西エリアを地盤に不動産の開発・流動化を手掛けるサムティ <3244> 、首都圏で中古マンションやアパートをリフォーム販売するムゲンE <3299> などもマークしたい。

●インバウンド追い風の東急不HD、ヒューリック

 東急不HD <3289> も注目だ。東急電鉄グループでビル賃貸を主力に総合不動産業を展開、グループの強みを生かして渋谷再開発や二子玉川再開発などでビジネスチャンスをとらえている。訪日外国人客の急増で同社が運営する東急ハンズはインバウンド特需に沸いている。時流に乗り人気都心立地でのマンション再生事業にも参入するなど、業容拡大が続く。

 ヒューリック <3003> は賃貸や分譲など不動産投資事業を展開、16年12月期は前期に竣工したビルに加えて、米系ファンドから取得した不動産の収益寄与が見込まれ、経常利益は連続2ケタ増益で過去最高更新が続く見通しだ。観光地でホテル事業にも展開、インバウンド需要の恩恵も享受する。ここ連日の上昇で13週移動平均線を上回ってきた矢先、底入れ初動で上値余地が期待される。

●株価低位銘柄に穴株妙味

 日エスコン <8892> [東証2]は200円台と株価低位で穴株素地に富む。関西と首都圏を基盤に分譲マンションを展開、不動産流動化ビジネスも手掛ける。15年12月期営業利益は前期比43%増の40億1200万円という高変化を示した。マンション販売が順調で、収益不動産の販売や土地企画販売が利益を支えている。16年12月期も増益基調は不変、4.5%の高配当利回りが魅力となっている。

 このほか、株価100円台とさらに低位に位置するエリアクエス <8912> [東証2]、エリアリンク <8914> [東証M]、明豊エンタ <8927> [JQ]といった銘柄には突飛高妙味があり、あわせてチェックしておきたい。


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