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【特集】小川英幸氏 【原油安とマーケットの行方】 (1) <相場観特集>

小川英幸氏 (光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)
 原油価格が下落を続けている。10日のニューヨーク原油先物市場で、代表的な指標油種のWTI・1月渡し価格は、5営業日連続で値下がり。1バレル=36ドル台へと下落して、約6年10ヵ月ぶりの安値水準を更新した。原油価格の低迷は資源関連株の下落を招き、日米株式相場の下げを誘発している。そこで、今後の原油価格の見通しと日本株への影響について、第一線の専門家である小川英幸氏(光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)の見方を紹介する。

●「原油安は海外投資家の動向に影響」

小川英幸氏 (光世証券 本店コンサルティンググループ 課長代理)

 日本株は米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に下げ基調の展開となっている。大手証券会社が来年度の日本企業の業績見通しを下方修正したことも、その要因の一つだろう。米国の政策金利引き上げ後の株価はあまり期待できない。米国のISM製造業、非製造業指数などをみると業況は悪化してきており、企業業績も前年比でマイナス成長となっている。

 原油価格の下落は、米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き上げで、いったんは材料出尽くしにより反発するだろう。しかし、商品はキャッシュフローを生まず、理論価格が作れないため、長期的な目標価格を見通すのは困難だ。

 原油価格の下落により、資源国のソブリン・ファンドによる資産売却が報道されているが、その他のファンドなど海外投資家の動向にも注意したいところだ。一時期話題となった、資源大手グレンコアのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は再び拡大し、9月末のピークに近づきつつある。米国の金利の引き上げとともに、この問題が蒸し返される可能性も高い。

 以上のような環境から、年末年始の株式投資には慎重な姿勢で臨みたい。物色は小型のバイオ株に注目している。

<プロフィール>
1977年滋賀県生まれ、2000年滋賀大学経済学部卒。光世証券入社後、先物オプションや現物の自己売買部門を経て、2015年12月からコンサルティンググループに所属。

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