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【特集】初飛行「MRJ」、ともに翔ぶ 7銘柄 <株探トップ特集>


-20兆円新市場への離陸―

 東京市場は連騰疲れから上値が重くなっているが、先高期待の強さが株価の底堅さに映し出されている。強い相場環境を背に投資家の個別物色意欲も旺盛、11日の市場では朝方から「MRJ」の初飛行に絡み関連銘柄が色めき立った。国内初となる国産ジェット旅客機として注目を集めた「MRJ」は、今後も株式市場に大きなインパクトを与えることになりそうだ。

●407機の受注先を確保、欧州開拓に注力へ

 三菱重工グループの三菱航空機が開発・生産する次世代リージョナルジェット機「MRJ」が11日、午前9時半過ぎに名古屋空港から離陸した。巷間話題を集めた初の国産民間旅客機として、株式市場でも折に触れ物色テーマとして脚光を浴びてきたが、満を持しての初飛行を成功裏に果たすとともに、ネットで飛行をリアル配信するなどの趣向も功を奏し、関連銘柄は一斉高に買われる展開となった。

 これまで5度にわたり初飛行の日程を延期したが、それだけに世間の関心の度合いが醸成されてきた面もあったようだ。

 「初号機の納入予定は17年第2四半期(4~6月)を目指しているが、既に407機の受注を確保している」(三菱航空機広報)状況にある。契約先もJAL <9201> やANAHD <9202> をはじめ、国内外6社に及んでおり、海外では米トランス・ステーツ航空やスカイウエスト航空など、世界トップクラスのリージョナル航空会社と契約、小型ジェット旅客機として競合他社を引き離す優位性を裏付けている。今後、三菱航空機では「契約が現時点で実現していない欧州での需要開拓に注力していく」(同)構えにある。

●三菱重 <7011> 、東レなど注目

 「MRJ」には、従来機との差別化を推進させるいくつかの“仕掛け”があることは言うまでもない。燃費性能の高さや低騒音に加え、客室空間の快適性も大きなセールスポイントとなっている。スリムシートなどの採用や「手荷物の収納場所を機体後部に設け、空間を広く活用できるようにした」(前出の広報)という。また、CFRP(炭素繊維複合材)を主翼の一部や尾翼などに使用し機体の軽量化にも余念がない。

 リージョナルジェット機市場全体を俯瞰すれば、現在世界ベースで3400機前後が就航しているとされるが、これが2035年前後には5000機を超えてくるという試算がある。金額換算では最大20兆円規模の新たなマーケットが創出される可能性が指摘されている。その巨大市場は関連部材や素材、部品などを手掛けるサプライヤー企業にとっても垂涎の的となる。

 安倍政権では製造業の空洞化を防止する基幹産業のひとつに航空機産業を育成する方針を掲げているが、そうした国策支援も原動力となり、「MRJ」の国内サプライヤー企業は今後中期的にも大きな商機が巡ることが予想される。世界的な航空機産業の活況なニーズも反映し、株価面でも見直しのタイミングが訪れる可能性が高い。

 有望な投資対象として注目されるのは、まず三菱航空機の親会社である三菱重 <7011> 。「MRJ」の製造も受託している。また、炭素繊維複合材の世界トップメーカーで航空機向けに高実績を持つ東レ <3402> は前述の翼部分の軽量化などで受注を確保し、ここでも要注目の企業だ。

●島津製、住友精などにも活躍機会

 航空機の飛行姿勢を制御するフライト・コントロール装置では国内向けで市場を独占するナブテスコ <6268> が活躍。歯車などの回転を直動化するラック・アンド・ピニオンでは島津 <7701> が受注している。また、自動車照明器トップメーカーの小糸製 <7276> は米ボーイング向けなど航空機の機内照明器でも実力を有し、「MRJ」向けでもサプライヤーの地位を固めている。

 ランディングシステムで高技術力を持つ住友精 <6355> はリージョナルジェット機分野で強みを発揮、「MRJ」向けでも参入を果たした。

 また、このほかでは翼の可動部などに使用するベアリングで世界60%以上のシェアを掌握するミネベア <6479> の存在は大きく、同社も受注を確保している。

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