信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

8518 日本アジア投資

東証S
228円
前日比
+3
+1.33%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.73
時価総額 40.8億円
比較される銘柄
FVC, 
ジャフコG, 
UNIVA

銘柄ニュース

戻る
 

アジア投資 Research Memo(2):2023年3月期は増収ながら株式売却益の下振れ等で各段階利益で赤字計上


■決算概要

1. 2023年3月期決算の概要
日本アジア投資<8518>の2023年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比20.9%増の3,872百万円、営業利益が11百万円(前期は237百万円の損失)、経常損失が126百万円(同412百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が295百万円(同19百万円の利益)となった。

従来連結基準では、営業収益が前期比25.2%増の3,017百万円、営業損失が185百万円(前期は86百万円の利益)、経常損失が224百万円(同61百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が269百万円(同49百万円の利益)と増収ながら減益となり、各段階利益で赤字を計上した。また、期初見込値(及び11月14日公表の修正見込値)に対しては、営業収益はほぼ計画線で推移したものの、各段階利益では大きく下回る着地となっている。

従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。

営業収益は、国内の上場株式の売却進捗や国内外での未上場株式の売却が増収に寄与した。プロジェクト投資についても5件の売却益(うち1件は前期売却分)を計上するに至った。

一方、各段階利益で赤字を計上する結果となったのは、1) 業況の悪化した投資先等の株式売却に伴う損失の発生、2) 投資先に対する引当金の増加※1、3) プロジェクトからの損失※2などにより営業原価が増加したことが主因である。

※1 事業進捗の遅れによるもの。
※2 植物工場やバイオガス発電の黒字化の遅れや新規プロジェクトの立ち上げに伴うコストの増加等。


財政状態(従来連結基準)については、プロジェクト投資及び戦略投資ともに投資回収が投資実行を上回ったことから、総資産は前期末比10.4%減の13,413百万円に縮小した。一方、自己資本についても最終損失の計上により前期比3.4%減の7,518百万円に減少したものの、自己資本比率は56.1%(前期は52.0%)に改善する結果となった。有利子負債も前期末比13.5%減の5,142百万円に減少。投資回収から将来の成長に向けた投資資金を確保した上で、着実な圧縮を図っている。

投資種類別の業績は以下のとおりである。

(1) PE投資
営業収益は前期比68.1%増の2,076百万円、営業総利益は同23.9%減の572百万円と増収ながら減益となった。営業収益は、国内の上場株式の売却が進捗※1したことや、投資金額の比較的多額な未上場株式の売却※2が大幅な増収に寄与した。ただ、損益面では、上場株式の売却益が想定を下回ったことに加え、業況が悪化した投資先等の株式売却を進めたことで売却損が発生したこと、事業の進捗に遅れが発生している投資先に対して投資損失引当金(229百万円)を計上したことにより減益となった。

※1 2021年12月22日にIPOした戦略投資先リニューアブル・ジャパン(株)を含む。
※2 2022年11月にM&Aにより売却した戦略投資先ソーシャルインクルー(株)を含む。


(2) プロジェクト投資
営業収益は前期比19.8%減の941百万円、営業総利益は同25.6%減の389百万円と減収減益となった。営業収益は、メガソーラープロジェクト(1件)の売却高に加え、4件のプロジェクトの売却益(うち1件は前期売却分)が計上されたものの、前期との比較では売却高が減少し減収となった。また、損益面でも植物工場やバイオガス発電プロジェクトにおける損失、新規プロジェクトの立ち上げに伴うコスト増により減益となった。

2. 2023年3月期の総括
2023年3月期を総括すると、業績の落ち込みについては、株価低迷等を背景とした株式売却益の下振れのほか、投資先に対する引当金の増加等いくつかの要因が重なったことが大きい。とりわけIPOにおけるロックアップ解除後の売却は、株価変動の影響を受けやすいことから、あらためてPE投資における見通しの難しさを感じる結果となった。一方、2号案件となった戦略投資先の売却についてはM&Aにより円滑にキャピタルゲインを獲得できており、今後の出口戦略についても注意して見ておく必要があるだろう。また、投資先に対する引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れについても今後の動向が気になるが、該当する投資資産に見合う引当金を計上済であることや、植物工場の黒字化に向けたハンズオン支援も進めていることから、さらなる業績の悪化要因として認識する必要はないと見ている。一方、活動面では、後述のとおり、プロジェクト投資の実行(屋根置型蓄電池付太陽光発電設備や障がい者グループホームなど)や新たな戦略投資先への投資実行(2件)などで一定の成果をあげることができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《SI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均