信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

6031 サイジニア

東証G
829円
前日比
+30
+3.75%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
31.7 10.91 0.54
時価総額 106億円
比較される銘柄
マクビープラ, 
LTS, 
JTP

銘柄ニュース

戻る
 

サイジニア Research Memo(1):中期経営計画を策定、成長ドライバーはCX改善サービス


■要約

1. 一気通貫したハイエンドのCX改善サービスを有力小売企業などに提供
サイジニア<6031>は、ターゲティング広告などネット広告サービス及びECサイトの利便性を向上するCX(顧客体験)改善サービスを事業領域に、EC事業者に対しデジタルマーケティングサービスを提供している。特にCX改善サービスでは、EC全般に対応可能な一気通貫したハイエンドサービスの提供や、顧客に有力な小売企業が多いことを特長としている。両事業が属する国内インターネット広告市場とデジタルマーケティング関連ソフトウェア市場はいずれも変化が激しいが、中長期的な成長が見込まれている。このためCX改善サービスは順調に需要を拡大しているが、一方でプライバシー保護の観点からユーザーの行動を追跡するクッキーの使用を制限する「クッキー規制※」を背景に、ネット広告サービスは競争が激化した。

※クッキー規制:3PC(3rd Party Cookie)は他社サイトを含むウェブサイト閲覧者の行動をトラッキングできる技術で、リターゲティング広告などに広く普及している。しかし、ユーザーのプライバシー保護の観点から3PCの利用に制限が求められており、利用が制限された場合、多くのウェブマーケティング企業やターゲティング広告などのサービスに影響が及ぶことが予想されている。なお、広義には自社サイトでの行動履歴である1st Party Cookieも規制に含まれる。


2. 強みを発揮するためCX改善サービスに経営資源を集中、ネット広告サービスは撤退
構造改革の一環として2021年7月に同社が経営統合したZETA(株)は、コマースとCXのリーディングカンパニーで、ストック型の高収益・高成長企業である。強みは、他にはないハイエンド多機能サービスの提供、変動費率が低く粗利率上昇が加速しやすいビジネスモデル、ECの売上拡大につれて高まるハイエンドへのニーズ、一気通貫したサービスのため増加傾向にある複数サービスの導入にあり、関連市場であるEC市場やデジタルマーケティング市場の拡大という追い風も受けている。同社は現在、売上総利益率を徹底重視する施策によって収益力を強化、ZETAを中心に成長に弾みをつけようとしているところである。このため構造改革の仕上げとして、2023年7月に競争激化で低迷を続けるネット広告サービスを事業売却することとなった。

3. 中期経営計画を策定、目標は2026年6月期に営業利益10.5億円、株主還元も強化へ
構造改革を仕上げたことから、CX改善サービスによる成長をより確かにするため、同社は中期経営計画を策定した。EC市場の拡大が続くなか、CX改善サービスが成長ドライバーとなって高成長を継続する計画である。また、クッキー規制をきっかけに企業のマーケティング予算がリターゲティング広告から自社ECサイト強化にシフト、リテールメディアが市場として確立するとの環境予測から、サイト内リスティング広告などリテールメディアテックを強化する方針である。さらに長期的な視点から、リテールメディア全域においてUGC※など新事業開発も検討するようだ。これにより、2026年6月期に営業利益10.5億円の達成を見込んでいる。同時に、EPSやROEを向上させることで株主還元も強化、20%以上の配当性向を目指す考えである。

※UGC(User Generated Content):レビューやクチコミなどユーザーによって生成されるコンテンツ。


4. 2024年6月期はネット広告サービス撤退で売上高が一時減少も、CX改善サービスが利益成長をけん引
2023年6月期の業績は、売上高2,437百万円(前期比6.1%減)、営業利益380百万円(同4.7%増)となった。微増益にとどまったが、比較対象となる2022年6月期の業績にZETAの2022年5月期第1四半期業績(営業損失)が含まれていないことが要因で、これを加えた実質的な営業利益は、CX改善サービスの好調を背景に同34.9%増と大変好調であった。ただし、ネット広告サービスが想定以上に苦戦したため、売上高は減少することとなった。2024年6月期の業績について同社は、引き続きCX改善サービスが好調を維持するという見込みのもと、売上高1,800百万円(前期比26.1%減)、営業利益470百万円(同23.4%増)を予想している。ネット広告サービス撤退の影響については売上高の一時的減少に現れる程度で、低採算だったためむしろ利益率向上の一因になるようだ。

■Key Points
・有力小売企業などにハイエンドなCX改善サービスを提供、ネット広告サービスは撤退
・中期経営計画を策定、2026年6月期に営業利益10.5億円を見込むほか、株主還元も強化へ
・CX改善サービスが成長ドライバー、サイト内リスティング広告などリテールメディアも強化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均