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【特集】独身大国の「単身向け家電」大勃興、おひとり様対応“先進企業”は <株探トップ特集>

ビックカメラ <日足> 「株探」多機能チャートより

―止まらない単身世帯増加、商品開発も標準世帯前提から変化―

 単身者向け家電が話題を呼んでいる。未婚率の上昇や高齢化によって、単身世帯が増えていることが背景にある。こうしたなか従来、単身者向け家電といえば、「小さい」「安い」だけの商品が多かったが、企業側も単身者向け商品の開発に力を入れ始めている。また、単身者世帯の増加は世界的な流れにもなっているだけに、今後の動向にも注目したい。

●「単独世帯」が4分の1強に

 厚生労働省の「平成27年 国民生活基礎調査」によると、2015年の全国の世帯総数は5036万1000世帯で、その世帯構造は、「夫婦と未婚の子のみ世帯」が1482万世帯(全世帯の29.4%)で最も多く、次いで「単独世帯」(単身者世帯)が1351万7000世帯(同26.8%)、「夫婦のみの世帯」が1187万2000世帯(同23.6%)となっている。

 特に、「単独世帯」は、1996年には921万3000世帯だったが、この20年で46.7%も増加した。全世帯に占める比率も97年の22.6%から4.2ポイント増えており、もはや単身者世帯はマイノリティーではなくなっている。

 これを受けて、企業も商品開発において、単身者向けに力を入れ始めている。わが国では従来、夫婦と子2人からなる世帯を「標準世帯」と呼び、企業の家庭向け商品開発でもこれを主なターゲットしてきたが、実勢に合わなくなってきているからだ。

●一人暮らしの部屋に合う商品

 こうしたなか、エスキュービズム(東京都港区)が8月に発売した超薄型ロボット掃除機が話題を呼んでいる。「一人暮らしの部屋に合う商品」というコンセプトで開発した商品で、自動でホームベースに戻る機能はない代わりに、本体の高さは3.2センチメートルとピンポン玉より低くし、単身者のコンパクトな部屋の家具の下を掃除できるようにしたのが特徴という。

 一方、家電大手でも既に多くの商品が登場している。パナソニック <6752> では11年に小型洗濯機「プチドラム」を発売して以降、主に単身者向けに「プチ家電シリーズ」を展開しており、その後も卓上型食器洗い乾燥器の「プチ食洗」、掃除機の「プチサイクロン」などを投入している。

 また、パナソニックや象印マホービン <7965> [東証2]、三菱電機 <6503> など各社が小型釜の炊飯器を投入しているなか、日立製作所 <6501> からは、少量でもおいしく炊けて、さらにそのまま食卓に運ぶことのできる炊飯器「おひつ御膳」が販売されており、単身者や高齢者世帯に人気だ。

●新興家電メーカーや家電量販店も展開

 単身者向け家電では、ツインバード工業 <6897> [東証2]も売り上げを伸ばしている。同社が単身者向けに投入したサイクロン式掃除機は、構成部品の点数を減らすことで軽量化と低価格、それに故障のしにくさを実現した。

 また、ビックカメラ <3048> では、オリジナルブランドの「TAG line」で単身者向け商品の展開に力を入れている。炊飯器や電気ケトル、電子レンジ、冷蔵庫などひと通りの商品を5万円前後で揃えることができるので、新生活のスタート時などに人気が高い。

●中国でも単身世帯が拡大

 活発化する単身者向け家電だが、日本以上に中国でも急増している。

 現地メディアによると、大都市における晩婚化の進行や離婚率の上昇などで、中国の単身成人未婚者は現在約7700万人で、12年に比べて16%増加。さらに、21年には9200万人まで拡大すると予測されている。

 まさに世界最大の「独身者の国」であり、これは中国で11月に行われる電子商取引のイベント「独身の日」が、世界的にも最大規模のショッピングデーの一つとなっていることからも見てとれる。こうした中国の単身者向け市場に注目する日本企業も増えている。

 「無印良品」を運営する良品計画 <7453> は、国内でも自社開発の家電商品を展開しているが、水筒や炊飯器などで中国独自の単身者向けの製品を開発。現地店舗での販売を開始した。また、自社商品ではないが、ラオックス <8202> [東証2]のように単身者向け商品の販売増が期待できる越境ECにも注目したい。

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