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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「始まったセルインメイ」

株式評論家 富田隆弥

◆先週17日、NYダウ平均は372ドル安、ナスダックが158ポイント安、独DAXが172ポイント安とこれまで同時株高を牽引してきた欧米株が大きく下げた。その背景は周知の通りトランプリスクの台頭と、市場がリスクオフに傾いたことによるものだが、チャート的には例年通り「セルインメイ(株は5月に売れ)が始まった」と言える。

◆18日の日経平均株価は急落して始まった。窓を空けて始まり日足は1万9700円~1万9900円のところに「離れ小島」が生まれた。一方、一時は365円安の1万9449円まで下げたことで5月2日に空けていた大きな下窓(1万9464円)を埋めた。25日移動平均線と75日線が1万9200円処に控えることから、当面はこの1万9400~1万9200円が下値メドになると思われる。逆に上値メドは「離れ小島」の窓を埋める1万9764円近辺になる。

◆当面の上下メドを探ればこのようになるが、カギを握るのはやはりNYダウだ。トランプラリー、欧州不安後退で世界マネーは「リスクオン」に傾き同時株高を強めていた。日本株はサイコロジカル(9勝)や騰落レシオ(145%)、RCI(90%台)などテクニカル指標が過熱していた。そうした状況で急落が起これば「利食い急ぎ」の動きが起きてもおかしくなく、マーケットはしばらく荒い値動きになるだろう。

◆ならば「突っ込み買い、吹き値売り」と短期売買に動く投資家もいるだろうが、ここからは「戻り売り」が基本になる可能性もある。5月前半に高値をつけ、後半から調整入りという展開はいわゆる「セルインメイ」で珍しいことではない。これまで触れてきた通り、今年も同じような展開になる可能性があるということだが、そうであれば6月にリバウンドを見せるものの、7~8月の夏休みまで調整が長引くことも否定できない。

◆そして、ここまでの同時株高では、世界中に溢れる投資マネーが欧米株に集中した。日本にも海外投資家のマネーが入ってきた。だが、一方方向(買い)に片寄るさまは強烈で、そこに流れるマネーの量は「07年当時を上回る」との観測もある。それだけに、今回の急落と、これからのセルインメイを甘く見ない方が無難だろう。

(5月18日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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