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【特集】日本アニメ“新世紀”、東京テアトル「S高」の意味するもの <株探トップ特集>

テアトル <日足> 「株探」多機能チャートより

―「君の名は。」「この世界での片隅に」と注目作続出でアニメ株“変貌”の可能性―

 22日、寄り付きから大量の買いを集めた東京テアトル <9633> が50円ストップ高の182円と急騰。背景には同社が配給する「この世界の片隅に」が大ヒットの兆しを見せていることがある。株式市場ではこれに先立ち、「君の名は。」が記録的な興行収入となった東宝 <9602> の株価が8月から9月にかけ大きく上昇していたこともあり、アニメ関連銘柄への関心が高まっている。

●「君の名は。」は映画興行収入歴代2位に

 8月26日に公開した東宝配給のアニメ映画「君の名は。」が11月に入っても映画興行ランキングでトップ争いを続け、年内にも宮崎駿監督のスタジオジブリ製作「ハウルの動く城」の興行収入196億円を抜いて歴代2位に浮上することが伝えられた。宮崎駿監督が長編製作から引退を表明を行って以降、日本のアニメ映画から大ヒット作が登場していなかっただけに、今回の「君の名は。」の人気化は日本のアニメコンテンツのクオリティーの高さを再評価する一因になっている。

 過去の日本映画の歴代興行収入ランキングのトップは308億円を叩き出した「千と千尋の神隠し」で、2位が「ハウルの動く城」、3位は「もののけ姫」と、これまで歴代上位をジブリのアニメ映画が独占してきた。「君の名は。」の興行収入ペースが好調を維持すれば、200億円突破は確実な勢い。第89回アカデミー賞アニメ枠審査対象に選ばれたことも伝えられており、海外でも評価が高まっている。

 東宝の株価は8月末時点で2800円台にあったが、その後9月下旬にかけて一貫した上昇トレンドを形成、9月28日には年初来高値3430円までおよそ2割強も水準を切り上げた。東宝株はその後、米大統領選前の「トランプ当選不安」から調整を余儀なくされたものの、11月9日につけた安値を境に反転。9月26日高値と11月9日安値の半値戻しを達成し、全般相場が好調に推移するなか、先行きへの期待が高まっている。

 東宝は今期、売上高2340億円、営業利益470億円と前期に続く過去最高の業績を見込んでいる。同社は「君の名は。」のほか、ゴジラシリーズの最新作「シン・ゴジラ」も大ヒットとなっており、計画達成の確度は高そう。予想PERは22日現在17.7倍にとどまっており、年末に向け先高期待が高まるなか、同社株も高値更新が期待される。

●「この世界の片隅に」ヒットで東京テアトル急騰、低位株物色も後押し

 こうしたなかで新たに登場した話題は、東京テアトルが配給する劇場アニメ「この世界の片隅に」の好調だ。11月12日の公開から9日間で観客動員が11万人を突破。公開館が少ないなかでの異例の動員で、注目が高まっている。「この世界の片隅に」は、のん(能年玲奈から改名)が主演声優を務めることで公開前から密かに話題となっていたが、公開後はその内容の高さが絶賛され、立ち見客が続出しているという。

 折しも株式市場では、2日で株価が倍化したエンシュウ <6218> や神戸発動機 <6016> など、低位株が次々に急騰する地合いだったことも、東京テアトルへの注目が高まる要因となった。同社株は2013年3月には234円の高値をつけており天井は高い。東京テアトルは21日にストップ高に買われたものの、大ヒットの予兆を受けての初動にすぎず、今後は観客動員動向を見ながらの相場展開が予想される。

●ジブリ以外のヒット登場で、次の候補を探す動きも

 「君の名は。」、「この世界の片隅に」と、ジブリ作品以外でアニメのヒット作が生まれたことで、今後、公開を控える日本のアニメ映画への関心も高まることが予想される。

 年内に劇場公開を予定しているアニメ作品ではIGポート <3791> [JQ]のグループ会社であるシグナル・エムディがフル3DCGアニメーション「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」を3章構成で制作、その第1章が11月25日から東宝の配給で公開される。石ノ森章太郎氏の往年の人気作「サイボーグ009」が原作で「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズを手掛けた神山健治氏が総監督を担当、最新の技術を使っての往年の人気作品の再アニメ化が話題になりそうだ。

 ドラゴンボールのアニメが世界的な人気となった東映アニメーション <4816> [JQ]は、創立60周年記念作品としてオリジナル劇場アニメ「ポッピンQ」を製作、12月23日から東映 <9605> 系で全国ロードショーを予定している。中学の卒業を目前に控える5人の少女達が織り成す青春ストーリーで同社の人気シリーズ「プリキュア」などを手掛けた宮原直樹氏が初監督を担当している。

 この他、人気ゲーム作品を題材にした劇場アニメの公開が控えている。セガサミーホールディングス <6460> 傘下のセガホールディングスのスマホゲーム「チェインクロニクル」を題材にした「チェインクロニクル ~ヘクセイタスの閃~」が3章構成で第1章が12月3日から、ミクシィ <2121> [東証M]が配信する「モンスターストライク」初の映画作品となる「モンスターストライク THE MOVIE~はじまりの場所へ~」が12月10日から、任天堂<7974.T>の携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けの人気ゲーム「妖怪ウォッチ」の映画化第3弾「妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」が12月17日から公開される。

 公開前は知名度が低かった「君の名は。」や「この世界での片隅に」の成功がアニメ界には強い活力となっている。これを契機に来年以降、日本でアニメ映画の製作が一段と活発化しそうだ。

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