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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「乱高下しやすい秋」

株式評論家 富田隆弥

◆GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の4-6月の運用成績が▼5兆2342億円の損失になった。昨年度の▼5兆3098億円に続き、損失が止まらない。アベノミクスが始まり、日経225、JPX400を中心に国内株の運用枠を広げ、さらに環境ファンドやITファンド、人材育成ファンドなど業界が新たに組成するファンド(投信)を積極的に組み込んできた。だが、成績が「相場次第」であるのは昔から何も変わってはいない。

◆2年ほど前に運用成績が少し上がると「自分たちで運用する」と言い出した。自分たちの手腕で成績を上げたかのような大きな勘違いをしていたが、日銀の膨大なPKOと超低金利政策があってこの有り様である。もし「同時株安」のような局面が訪れたら、いったいどうなることやら。「株は上がるもの」と思い込んでいる年寄り連中が役員にズラリと名を連ね、みな目が飛び出るような高給取りばかり。国民の大事な年金を扱う機関なのだから、損失を出したら「給料返上します」ぐらいの責任体制がいまGPIFには必要で、それこそが成績を上げるために必要な第一歩なのではないか。

◆さて、閑散続きでもみ合いにあった日本株だが、8月26日に日経平均株価は195円安の1万6360円、TOPIXは16.37安の1287ポイントと下げ、いずれも抵抗線を割り込み保ち合いを下放れた。ところが、26日のジャクソンホールでイエレンFRB議長が「利上げ」を示唆し、為替が102円台へ「ドル高・円安」に振れたことで、先週の日本株は大きく切り返した。全面高となり、チャートも一転「上放れ」の構えとなり、市場からは「官製相場が始まる」「2万円を目指す」と強気観測も聞こえるようになってきた。

◆相場が上がると強気になるのは今に始まったことではなく、GPIFも証券界も、そして多くの投資家も同じ。自分も「流れに従う」ことから日経平均の上放れは「好転信号」として注目している。ただし、1万7000円前後に多くのチャートポイントが重なることから、目先強気に傾けるのは1万7050円処にある「200日線突破」を確認してからでも遅くないと考えている。

◆為替は104円にかけて節がある。国債や原油、新興国の動向も不安定だし、NYダウはジリ貧傾向でダブルトップ懸念が払拭できない。2日の雇用統計がポイントだが(本稿執筆現在、未発表)、皆が強気に傾いたところで9日メジャーSQが近付く。そして、「秋」といえば波乱含みの季節でもある。

(9月1日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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