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【特集】検証・NYダウ“2万ドル”乗せシナリオ、その時日本株は? <株探トップ特集>

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

―早ければ年内の大台到達を予想する声も―

 米国株式市場が上昇基調を強めている。NYダウ平均 ナスダック、S&P500種といった主要3指数がそろって史上最高値圏で推移。低迷する日本株を尻目に米国株式市場は絶好調状態にある。この背景には、米国の超低金利状態が持続するとの見方がある。11月に向け米大統領選挙が本格化するが、市場には先行きの“NYダウ2万ドル乗せ”に向けた期待も強まり始めている。

●ジャクソンホールに注目、米年内利上げは1回か

 NYダウは今月15日に1万8668.44ドルの史上最高値をつけ、23日の終値は1万8547.30ドルと高値圏の強調展開。ナスダック総合指数は23日に一時、5275.74を記録し史上最高値を更新、S&P500種も最高値をつけた。

 NYダウは年初からは約7%の上昇、2月安値からは約17%の値上がりとなっている。この株価上昇の要因には、「米国市場は、適温のほどよい状況が続くゴルディロックス相場が継続している」(外資系投信エコノミスト)ことが挙げられている。

 年初に4回が予想されていた利上げは、今年はここまで実施されておらず超低金利が継続。この金融緩和状態の持続が米株式市場の押し上げ要因に働いている。

 また、「Brexit(英国のEU離脱)のマイナス影響が最小限に抑えられていること」(国内証券)もプラス要因に働いた。6月下旬の英国民投票でEU離脱派が勝利したことから、リスクオフ姿勢が強まり、各国は英国発の景気減速に備え金融緩和や景気対策を進めた。しかし、現時点では英国の景気減速の予兆は見えず、その一方、各国の景気刺激策が米国株の押し上げに効いた格好だ。

 ただし、この「適温相場」の行方を探る意味でも、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げがあるかどうかが、大きな焦点だ。なかでも、今後の金融政策を探るためにも26日の米ジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演が注目されている。もっとも、イエレン議長が「具体的な部分まで踏み込んだ発言をすることはないだろう」(市場関係者)とみる向きが多い。今後の米金融政策に関して、市場では9月のFOMCでは利上げは見送りとの見方が多く、11月も米大統領選の直前で政策の変更は難しいとみられている。このため、米利上げは「あるとすれば12月」(大手証券)との観測が有力だ。

 また、もし9月に利上げがあったとしても「いったん株価は調整するだろうが、米景気拡大のなかの利上げは前向きに受け止められる」(アナリスト)とも予想されている。

●米大統領選はクリントン氏優勢、株価への影響は玉虫色か

 一方、市場の関心を集める11月実施の米大統領選挙のレースは、民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢だ。9月下旬から大統領候補の討論会が開催されることもあり、共和党候補のドナルド・トランプ氏が巻き返す可能性はあるものの、「基本的にはクリントン氏の大統領就任をマーケットは織り込みつつある」(アナリスト)という。

 11月の大統領選で、トランプ氏が巻き返して勝利した場合、市場は予想外の動きに「ショック安に見舞われる可能性も」(同)との見方がある。しかし、トランプ氏の経済政策には大幅減税や規制撤廃などが盛られており、その政策には株高を誘うものは少なくないとも言われている。クリントン氏の経済政策は薬価の抑制や金融規制強化、TPPへの反対などはあるが、基本的には現職のオバマ大統領の路線を踏襲する方向とみられ、株式市場的には玉虫色で中立要因と受け止められそうだ。もっとも両氏ともに、為替はドル安を志向するとみられ、円高基調は継続するとの見方が多い。

●景気敏感株を中心に物色、建機・インフラ関連株に注目も

 こうしたなか、注目されているのが「ニューヨークダウ2万ドル乗せの時期」だ。NYダウはあと8%強上昇すれば、2万ドルの大台に到達する。「NYダウのPERは18倍前後の高水準にあり、いったん調整に入ってもおかしくない」(外資系投信エコノミスト)との見方はあるものの、金融緩和状態が長期化すればNYダウの一段の上昇も期待できる。ポイントは企業業績動向で、秋口以降、業績回復が見えてくるかどうかだ。NYダウ2万ドル乗せは、早ければ年内、遅くとも来年前半には到達することも見込まれる。

 東京市場もこの米株上昇の流れに乗ることが期待され、事実、ドルベースの日経平均株価は年初来高値圏にある。しかし、円ベースでは「円高が足を引っ張り、上値は重い状態」(市場関係者)が続いている。一方、円高進行は懸念材料だが、米国株高の恩恵を享受するトヨタ自動車 <7203> など自動車株やソニー <6758> など電機株、ファナック <6954> など機械株といった景気敏感株は上昇基調にある。また、クリントン氏はインフラ投資の活発化をうたっており、コマツ <6301> や日立建機 <6305> などの 建機 インフラ関連株などの活躍も期待されている。


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