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【特集】大谷正之氏【企業業績から占う相場展開と注目株】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 大型連休明けの東京市場は、ようやく下値模索の呪縛から逃れ7日ぶり反発に転じた。しかし、市場エネルギー不足は否めず上値の重さも露呈している。企業の3月期決算発表たけなわとなるなか、マーケットの視線は当然ながら17年3月期の業績見通しに集中している。第一線で活躍する市場関係者に、これまでの企業の決算発表を踏まえ、収益動向を判断材料とした今後の相場および注目業種・銘柄などについて意見を聞いた。

●「当面は反転上昇基調ながら上値重い展開に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 今週は、3月期決算企業の決算発表が佳境を迎えることに加え、週末にはオプションSQ(特別清算指数)算出を控えていることから波乱展開も予想される。4月25日から前週末6日までの6日続落で日経平均株価が1465円安と短期間に大幅下落したことへの反動もあり、反転上昇基調が強まりそうだ。ただ、外国為替市場での円相場の動向をはじめ、米大統領選や英国からのスコットランド独立問題など不透明な要素が多いことから、当面は上値の重い推移が想定される。

 現状までの前期決算発表、今期業績見通しを点検すると、“ほぼ事前の予想通りに慎重な見通しが多い”ということになる。想定為替レートはほぼ1ドル=105~110円と、輸出関連企業を中心に楽観的な業績想定は打ち出しにくい環境となっている。日経平均の当面の戻りメドは、2日の急落であけたマド埋めに相当する1万6650円水準に想定したい。

 個別銘柄では、飲食店情報をインターネットで提供するぐるなび <2440> に注目。17年3月期も、販促支援の契約店舗数の増加や地方での展開拡大などを背景に、好業績を維持するものと予想される。また、産業ロボット用精密減速機での世界シェア6割をはじめ、自動ドア世界トップ級、鉄道車両用のブレーキシステムやドア開閉装置でも高いシェアを占めるナブテスコ <6268> も好調な業績推移が見込まれる。さらに、17年3月期の連結営業利益(米国基準)が2200億円(前期比15.1%増)の見通しと発表した富士フイルムホールディングス <4901> も見逃せない。主力の事務機での新製品投入効果やインスタントカメラ「チェキ」、内視鏡・超音波診断装置などの医療関連部門の好調などを見込んでいる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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