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【特集】藤井知明氏【企業業績から占う相場展開と注目株】(2) <相場観特集>

藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)

 大型連休明けの東京市場は、ようやく下値模索の呪縛から逃れ7日ぶり反発に転じた。しかし、市場エネルギー不足は否めず上値の重さも露呈している。企業の3月期決算発表たけなわとなるなか、マーケットの視線は当然ながら17年3月期の業績見通しに集中している。第一線で活躍する市場関係者に、これまでの企業の決算発表を踏まえ、収益動向を判断材料とした今後の相場および注目業種・銘柄などについて意見を聞いた。

●「業績リスク残り内需系中心の展開に」

藤井知明氏(高木証券 企業調査部長)

 前週末まで6日続落していた日経平均株価は、9日は反発に転じた。一部には政府による政策期待なども出ているようだが、トヨタ自動車 <7203> や三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> など主力銘柄の決算発表を確かめる必要があり、なお慎重な姿勢は必要だと思う。想定為替レートを1ドル=105円前後とした場合、日経平均は下値を探るリスクは残っているとみている。

 日経平均採用銘柄の1株当たり利益(EPS)は前週末に1090円前後だった。このEPSが1050円程度に調整が進むとして、これをPER15倍まで買うなら日経平均は1万5750円となる。こうしたなか、今後1カ月程度の日経平均の想定レンジは1万6000円を挟んで上下500円を見込む。為替や決算内容次第では、1万5000円を意識する展開もあり得るとみており、相場はしばらく弱含みで推移する可能性もある。

 当面、外需株は買いづらく内需株中心の展開が続くと思う。小野薬品工業 <4528> に象徴される医薬品関連株やNTTデータ <9613> などの情報通信株、それに、しまむら <8227> やウエルシアホールディングス <3141> 、サントリー食品インターナショナル <2587> といった流通や消費関連株が見直されそうだ。

 また、円高や外国人投資家の影響が小さい東証マザーズなどの中小型株人気も続きそうだ。CYBERDYNE <7779> [東証M]は一段の上値が期待できるほか、国内外の格安旅行関連のオープンドア <3926> [東証M]、ペット保険関連のアニコム ホールディングス <8715> などにも注目したい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじい・ともあき)
高木証券企業調査部長。1985年日栄証券(現SBI証券)入社。88年から企業調査業務を務める。その後、モーニングスターを経て14年高木証券に入社。現在に至る。

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