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【特集】大関門“突破”マザーズ、「先物」効果で上昇続く <株探トップ特集>

そーせい <日足> 「株探」多機能チャートより

―7月指数先物開始へ先回り買い流入の見方―

 東証マザーズ市場への注目度が高まっている。マザーズ指数は年初から3割強上昇しており、全体相場が波乱展開となるなか強調展開にある。ただし、バイオ株などには過熱感も台頭し、強弱感も対立しつつある。このなか、今後をみるうえで注目を集めているのが今年7月から導入が予定されている「東証マザーズ先物」の影響だ。一部には「先物導入を考慮した売買は、すでに始まっている」との見方もある。

●「過熱懸念」と「先物期待」で強弱感対立

 東証マザーズ指数は20日に一時1220に乗せ07年1月以来、9年3カ月ぶりの水準に上昇した。そーせいグループ <4565> [東証M]やグリーンペプタイド <4594> [東証M]などのバイオ株や、インベスターズクラウド <1435> [東証M]といった直近IPO銘柄の人気が市場を活気づけている。

 東証マザーズ人気の要因としては、「バイオ関連など内需株が多く、足もとの円高の影響が小さい」ことや「外国人売買の影響も少なく、値動きも軽いため値幅取りが期待できる」ことなどを指摘する見方が多い。ただ、「マザーズ人気は過熱気味」との声も少なくなく、「4月下旬からの決算発表本格化を契機に再度、東証1部に売買がシフトする」(国内系投信)との観測も出ている。20日にマザーズ市場は、高値警戒感からのバイオ株などの下落で指数も反落した。しかし、その一方で「マザーズ人気は予想以上に続く可能性がある」(中小型株アナリスト)と指摘する声もある。

●時価総額上位銘柄が指数左右、そーせいなど注目

 なかでも、期待材料として注目を浴びているのが「東証マザーズ先物取引」の開始に絡む思惑だ。東証は次期デリバティブシステム稼働とともに、東証マザーズ指数先物取引を開始することを発表している。具体的には7月19日から取引が始まる見込みだ。

 この先物取引開始を視野に東証マザーズへの先回り買い流入を指摘する見方がある。「先物に絡む業者などがマザーズの時価総額上位銘柄をいち早く仕込んでいるのでは」(市場関係者)という。東証マザーズ指数は、同市場に上場している全銘柄を対象にした時価総額加重型の株価指数。同指数への時価総額上位銘柄の寄与度は大きい。

 マザーズの時価総額は4兆円強だが、個別銘柄トップのそーせいの時価総額は3960億円前後と約1割を占める。続いてミクシィ <2121> [東証M]が3320億円強、CYBERDYNE <7779> [東証M]が3060億円強、アキュセラ <4589> [東証M]が1560億円強、ジグソー <3914> [東証M]が1350億円弱と続く。時価総額上位の10銘柄で全体の4割強を占めており、これら上位銘柄の値動きが東証マザーズ指数の動向を大きく左右する。

 マザーズ先物が始まった場合、時価総額上位銘柄の動向次第で指数が大きく動ことが想定される。もともと、時価総額500兆円の東証1部市場に比べ東証マザーズは小さな市場であり、「ボラティリティが大きな中小型株指数に先物が登場することで、現物株を含め投機的な売買が一段と活発化することも」(市場関係者)と予想する向きもある。東証1部ではファーストリテイリング <9983> やソフトバンクグループ <9984> は先物売買の影響の大きさで知られるが、東証マザーズでは、時価総額上位のそーせいやミクシィが同様の位置づけとなる状況も予想されている。

●使い勝手は未知数、流動性向上に期待も

 東証マザーズの先物登場により、これまで難しかった売りヘッジができることを前向き評価する声があり「市場の使い勝手を向上させ、流動性向上につながる」(アナリスト)との期待が高まっている。

 ただし、東証マザーズ先物の影響度は未知数だ。「市場の規模や流動性などを考慮し、機関投資家などがヘッジツールとして東証マザーズの先物をどの程度利用するかは不明」(アナリスト)という。先物登場で時価総額上位銘柄への注目度は高まるが、使い勝手が悪ければ同指数の影響は限定的となる可能性もある。また、有力銘柄が東証1部などに指定変更しマザーズから移籍した場合の影響なども、考慮する必要がある。いずれにせよ、7月の先物取引開始を前に、東証マザーズ市場の状況は今後も注目を集めることは確かだ。

◆東証マザーズ時価総額上位20銘柄◆

銘柄          時価総額
そーせい <4565>      3960
ミクシィ <2121>      3321
サイバダイン <7779>    3065
アキュセラ <4589>     1566
ジグソー <3914>      1349
インベスターズC <1435>  1174
サンバイオ <4592>      860
ナノキャリア <4571>     817
ヘリオス <4593>       767
ブランジスタ <6176>     659
グリーンペプタイ <4594>   584
アカツキ <3932>       557
OTS <4564>        519
モルフォ <3653>       502
アンジェス MG <4563>   473
じげん <3679>        444
JIA <7172>        444
FFRI <3692>       400
UBIC <2158>       396
イトクロ <6049>       378

※4月20日終値ベース(単位:億円)


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