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【特集】西川雅博氏【日米欧・金融会合後のマーケット!】(2) <相場観特集>

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 欧州中央銀行(ECB)は10日、マイナス金利の拡大と量的緩和策を合わせて実施した。ECBドラギ総裁による利下げ打ち止め示唆発言を受けて、東京株式市場は朝方売り優勢となったものの、予想を上回る追加緩和策への評価が徐々に広がるにつれ、日経平均株価は後場に入って前日比プラス圏へと切り返した。来週前半に相次いで開催される日米の金融政策会合に投資家の関心が集中している。そこで、第一線の市場関係者に、日米欧の金融政策会合後の相場見通しを聞いた。

●「バリュー面からみた投資尺度を重視」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 10日にECBが発表した追加緩和策は、事前予想を上回る内容であったが、株式市場の反応はネガティブなものとなった。1月末の日銀のマイナス金利導入に続き、金融政策発動が株式市場に対して従来のような即効力を発揮出来なくなっている。

 一方、来週の日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)では現状維持が大方の見方である。その点ではマーケットニュートラルだが、重要イベントを経て、何もかもリスクオフに結びつける流れに歯止めがかかるかどうかを見極めたい。

 現在は、通貨安競争に対する批判も含め金融政策限界論が台頭するなど、金融政策が実体経済に与える影響に関し、株式市場には悲観のバイアスがかかっている。足もとの景気動向はそこまで悪化しておらず、もう一度先行き見通しに自信を取り戻すことも可能ではないか。

 黒田日銀総裁が言明しているように、マイナス金利導入の効果も、時間の経過と共に4月以降少しずつ表れると見ている。金融政策が有効に作用しないとなれば、逆に規制緩和や財政出動による景気対策の議論が活発化しよう。

 極端な弱気が後退し、素直に政策を評価する場面もありそうだ。仮に、来週の日銀、FOMC発表後に失望売りという反応があれば、押し目買いのチャンスと考える。こういう時期こそ、自分なりの投資スタンスを持てるかどうかが重要である。3月決算を前に、配当利回りや解散価値といったバリュー面からみた投資尺度を重視したい。


(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。

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