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【経済】NYの視点:イエレンFRB議長、労働市場が頼みの綱


米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は2日間にわたった米上下両院での議会証言で「株式相場の下落やドル高が成長に害を与える」と景気に慎重な見通しを示した。また、金融混乱にも触れ「金融市場はこれまでより支援的でなくなった」と言及。経済が停滞したら「利下げが適切」とし、「マイナス金利も選択肢として除外しない」としたものの、政策金利となるFF金利誘導目標の軌道は「経済指標次第」と繰り返した。

同時に、議長は現状での利下げの可能性を否定。2016年初めから強まった金融混乱も、原因はFRBの利上げではなく、「中国の為替政策や原油安」との見方。また、現状では金融混乱は「一時的」で、緩やかな利上げが正当だとの姿勢に変わりはない。市場で高まっている景気後退リスクに関しても、「リスクは常にある」としたにとどめた。経済は回復ペースが鈍化したものの雇用は依然強く、雇用の伸びが持続する限り相殺されるとの見方を示している。

しかし逆に言うと、万が一、雇用の伸びが鈍化した場合、FRBが利上げを打ち止める可能性が出てくる。今のところ雇用は安定。労働省が発表した週次の新規失業保険申請件数も7週ぶりの低水準となっている。米1月雇用統計でも労働市場が一段と改善したことを示した。イエレンFRB議長が好んで使用している雇用のたるみ具合を判断する連邦準備制度理事会(FRB)が発表した19の雇用指標から成る労働市場指数(LMCI)の最新1月分は予想を大幅に下回り4月来で最低になったことは雇用がピークをつけた可能性も示唆している。

海外では、世界中でマイナス金利政策(negative interest rate policy (NIRP))が一段と深刻化する見通し。スウェーデン中央銀行は政策金利を従来の-0.35%から-0.50%に引き下げた。市場予想の-0.45%もさらに下回った。スイス国立銀行(中銀)も、3月にも追加緩和に踏み切ると見られている。

《NO》

 提供:フィスコ

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