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【特集】大谷正之氏 【米利上げ後の市場を読む】 (2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)で、約9年半ぶりとなる利上げが決定した。これまでの利上げ時期を巡る不安感が払拭されたことや、米連邦準備制度理事会(FRB)が声明文で、今後の利上げを慎重に実施すると表明したことをひとまず世界の株式市場は好感した。そこで、米国の利上げスタートを受けて日本株式市場はどう動くのか、今後の見通しを証券ジャパン 調査情報部長の大谷正之氏に聞いた。

●「FOMCの内容は市場参加者の共感を得る」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の公表内容はほぼ満点といっても良いのでないか。次の利上げの時期は明示せず、方向性だけを明らかにした。また、利上げのスピードについてもゆっくり慎重に実施する意図を浸透させた。さらに、足もとの景気については堅調さを強調して市場参加者に安心感を与えている。現状の米株式市場のNYダウ平均株価は、利上げよりもむしろ、原油価格や外国為替市場でのドル相場の影響が強まっており、こちらの影響も注視したい。

 18日の日経平均株価大波乱の要因となった日銀の金融政策決定会合で公表された「量的・質的金融緩和政策の補完措置」は、来年4月から上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年3000億円新たに設けるというものの、実際には日銀が既に買い入れた株式の市中売却を始めるための受け皿として実施するものだということが判明し、いったん急騰した株価が時間の経過とともに下落する乱高下となった。

 18日は、取引時間中の高値と安値の値幅が886円と900円に迫る荒い値動きとなったことで、短期的な相場見通しは判断が難しくなった。今後は年末に向けて市場参加者が減少することもあり、ボラティリティの高い波乱展開が続きそうだが、年末高への期待はある。

 物色動向は、原点に返って好業績や高配当利回りの銘柄が中心となりそうだ。原油価格低下でメリットを享受できる化学業種に的を絞りたい。なかでも、原油安による採算向上が見込める三井化学 <4183> 、ダイセル <4202> 、DIC <4631> などに注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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