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2015年10月17日10時30分

【特集】建設株、1989年バブル高値奪回へ始動 <株探トップ特集>


―隠れたTPP関連本命の潜在力―

 東京株式市場では、中国経済の減速懸念に端を発したグローバルな景気不透明感が足かせとなってはいるものの、下値では買いの厚さを改めて確認、日経平均1万8000円近辺は押さば買いの強調トレンドが維持されている。

 そのなか、全体相場を牽引するセクターとして建設株の存在感が高まっている。難産の末、大筋合意に至った環太平洋経済連携協定(TPP)関連としてもゼネコンや海洋土木などが有力な投資対象に浮上、日本株年末高を担うリード役としてここは絶好の仕込み場だ。

●かつてない好収益環境が整う

 建設セクターは、かつてない好収益環境に支えられており、業績予想の上方修正期待を絡め、ここゼネコンを筆頭に上値指向が鮮明となっている。

 元来、建設は国策に乗る内需株として海外株安や経済情勢、為替要因などに左右されにくい強みを持つが、実態面で好調な収益動向が明らかになるにつれ、物色資金の流入が勢いを増してきた。

 安倍政権が喫緊の課題に掲げる国土強靭化などの国策テーマに乗るだけでなく、首都圏を中心に東京五輪関連のインフラ需要、相次ぐ都市再開発の動き、加えて中長期的には全長285キロメートル、工事期間12年に及ぶ超弩級のビッグプロジェクト「リニア中央新幹線工事」が強力な追い風となって業績を押し上げていく。

 さらに、TPP妥結に伴い、成長著しいアジアの公共事業の需要を取り込むという新たなテーマが浮上、これを拠りどころに1988~90年のバブル期以来となる大相場の潮流が押し寄せる可能性が出てきた。

 既に大成建 <1801> 、大林組 <1802> 、清水建 <1803> など大手ゼネコンの株価は長期波動のフシである96年と2006年の戻り高値を抜いており、89年の過去最高値を目指す中空エリアに突入している。また、若干出遅れる鹿島 <1812> もここにきて600円台前半の値固めを終え、急速にキャッチアップする動きをみせている。

●高技術の日本企業の商機が拡大

 TPP交渉参加国の世界に占めるGDPの割合は約36%に及ぶ。貿易では約26%を占め、協定が発効すれば、世界最大規模の自由貿易圏が誕生することになる。ここで、ポイントとなるのは、TPPの特徴は関税でクローズアップされた「モノ」だけでなく、「サービス」「投資」などでハイレベルの貿易自由化を目標にしていることだ。公共インフラ分野などでは外国企業の参加枠が確保され、海外企業にも広く門戸が開放される。

 これは建築・土木分野で高技術を有する日本企業にとって海外に翼を大きく広げる絶好のチャンスにほかならない。各国の公共事業の入札手続きのルールを定めた「政府調達」分野では、マレーシアやベトナム、ブルネイなどWTOの協定を締結していない国でWTOに準じたルールを採用、政府が公共事業を実施するにあたり公開入札を原則とし、海外企業と国内企業の差別がなくなることで、これらの国々での市場開放が進展する。いうまでもなく、日本企業にとって大きな商機拡大を意味する。

 政府要人発言もこれを裏付ける。一部市場関係者の間では「今月6日、太田昭宏国土交通相が閣議後の記者会見で、国交省は、建設業の海外進出の門戸拡大を受け、日本企業の海外事業でどのようなメリットや影響が出るかを整理する作業に入ったことを明らかにしたと伝わった。これで、にわかにゼネコンや海洋土木に市場の視線が向かった」(国内投資顧問)と指摘されている。

●五洋建、アジアパイルにも活躍期待

 政府は従前から取り組んできた日本の建設関連業界の海外進出支援や、大型プロジェクト受注に向けたトップセールスに姿勢を一段と高めることは必至であり、これを株式市場でも高評価する機運が次第に強まることになりそうだ。

 関連銘柄としては前出の大手ゼネコンに加え、五洋建 <1893> 、東亜建 <1885> 、東洋建 <1890> 、若築建 <1888> などの海洋土木関連に活躍期待が膨らむ。五洋建はアジアでの実績豊富、シンガポールでは大規模病院建設や空港の地盤改良工事で実力を示す。また、東亜建はベトナムでコンテナターミナルや火力発電所工事を進捗させており、TPPに絡んでもビジネスチャンスをとらえる可能性がある。

 また、建設資材関連も見逃せない。大口径のコンクリートパイルで強みを持つアジアパイル <5288> はベトナム子会社との連携で事業規模を拡大、ベトナムでの大口案件獲得が続いている。セメントでは北米やアジアで展開実績のある太平洋セメ <5233> が注目される。鈍い国内需要を補い増収増益トレンド復帰を果たす契機ともなろう。太平洋セメ系でコンクリート2次製品を手掛ける日ヒュム <5262> もタイやインドネシアなどアジアで需要を開拓しており、収益機会が広がりそうだ。

 このほか、建設セクター以外では、TPPによる大型案件獲得に際し、共同企業体での受注を考慮して資金調達や仲介役として活躍の機会が巡る三菱商 <8058> 、伊藤忠 <8001> など総合商社株も合わせてマークしておきたい。

 ※<株探トップ特集>は、市場が注目するテーマをタイムリーに、火~木曜日の20時、土曜日の10時30分に配信しています。

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