米株
【特集】＜決算特集＞【第1四半期経常益「高進捗率銘柄」に狙い】 冨田康夫
―スタートダッシユを好評価―
日刊株式経済新聞 編集長
冨田康夫
週明け3日の東京株式市場は、前週末の米株式市場が続落したのに加え、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意に至らず先送りされたことを嫌気して、売り先行のスタートとなった。ただ、売り一巡後は、佳境を迎えている決算発表を評価しての押し目買いが入り下げ渋る推移となった。既に4-6月期決算を発表した銘柄のなかから、経常利益で通期予想に対する進捗率の高い銘柄に照準を当てた。
●ＴＡＣは通期予想上回り急騰
3日の東証1部で値上がり率1位となったのは、「資格の学校」で知られるＴＡＣ <4319> 。一時、前週末比80円ストップ高まで買われ、1月15日につけた年初来高値254円を更新し、終値でも同54円高(25.2％)の268円となった。
同社が前週末7月31日に発表した16年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算が、売上高55億9200万円(前年同期比3.5％増)、経常利益8億600万円(同41.9％増)の大幅増益となり、16年3月期通期予想の売上高199億6100万円(前期比2.2％増)、経常利益5億9400万円(同47％増)、を利益面で既に通期予想を上回る驚異的な高進捗率が好感された。
季節要因で、第1四半期に売上高・利益が膨らむ傾向はあるものの、消費税増税による駆け込み申し込みの反動減による影響解消に加えて、企業研修の好調などが牽引。ＴＡＣの場合は極端で株価の反応も大きくなったが、このほかにも下に示したように、利益高進捗率銘柄は目の離せない存在として注目したい。
●マンダムはインドネシア市場拡大
マンダム <4917> の16年3月期第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高210億9400万円(前年同期比7.4％増)、経常利益は40億6200万円(同14.4％増)だった。国内ではコア・ブランド「ギャツビー」夏シーズン品の苦戦を、女性分野の好調でカバー。海外ではインドネシアで「ギャツビー」を中心に好調に推移したことに加え、円安による円換算額の増加も寄与している。女性用化粧品の新製品効果に加えて、インバウンド需要なども享受。また、新工場が6月に竣工したインドネシアなど海外事業も伸びていることが業績を牽引しているようだ。
●サカイ引越は作業件数が順調推移
サカイ引越 <9039> の16年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高198億8500万円(前年同期比4.5％増)、経常利益は32億5600万円(同11.4％増)と経常2ケタ増益を達成した。4-6月の新設住宅着工戸数が前年同月比で3カ月連続プラスに転じるなど回復の兆しが認められるなか、同社の作業件数は18万4266件(前年同期比742件増)と好調な推移をみせている。
●明治海運はホテル事業が牽引
明治海 <9115> が発表した16年3月期第1四半期(4-6月)の経常利益は前年同期比42.9倍の17億6100万円と好調、通期予想に対する進捗率も65.2％に達している。主力の外航海運では、円安基調による傭船料の増加や新造船の竣工などによる売上高が増加した。同社はホテル事業を積極展開しており、昨年6月30日から同社グループに加わったザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート＆スパがフル稼働するなど、インバウンド効果に伴い順調に収益が拡大している。
●わかもとは「強力わかもと」増勢寄与
わかもと <4512> は、16年3月期の第2四半期累計(4～9月)単体業績予想の修正を発表。経常損益を1億4000万円の赤字から3000万円の黒字(前年同期は2700万円の黒字)に上方修正した。売上高は54億円(前年同期比3.7％増)で据え置いているものの、主力商品の「強力わかもと」をはじめとした薬粧事業の売り上げ増加による製造原価の低減に伴い損益面の改善が進み、上方修正となった。なお、通期の経常利益予想の2億円(前期比14.4％減)は据え置かれた。
●ハリマ化成Ｇは製紙用薬品拡大
ハリマ化成Ｇ <4410> の16年3月期第1四半期(4～6月)の連結業績は、売上高207億3700万円(前年同期比4.6％増)、経常利益13億6100万円(同2.6倍)となった。同社は松ヤニを原料とした化学大手で、海外売上高比率が50％を超え、円安による増収効果が期待される。また、中国、米国向けを中心に製紙用薬品が順調な成長をみせている。なお、通期経常利益予想の20億円(前期比8倍)は据え置いている。
【 主な通期経常利益上方修正銘柄 】
コード 銘柄 旧経常益 経常益 修正率 株価
中電工 <1941> 8800 11600 31.8 2556
コカウエスト <2579> 9600 12100 26.0 2499
モノタロウ <3064> 5999 6949 15.8 6530
帝人 <3401> 47500 53000 11.6 453
アグロカネシ <4955> 1183 1964 66.0 1004
日電硝 <5214> 10000 15000 50.0 602
大和工 <5444> 19000 22000 15.8 2912
ホシザキ <6465> 27700 30500 10.1 7400
ＳＭＫ <6798> 3800 4300 13.2 569
新明和 <7224> 14500 16500 13.8 1256
コクヨ <7984> 9350 10800 15.5 1289
神鋼商 <8075> 5700 6300 10.5 277
ＪＲ西日本 <9021> 130000 143500 10.4 8909
ＫＮＴＣＴ <9726> 4200 5000 19.0 218
※株価は3日終値（単位：100万円、％、円）
株探ニュース
日刊株式経済新聞 編集長
冨田康夫
週明け3日の東京株式市場は、前週末の米株式市場が続落したのに加え、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意に至らず先送りされたことを嫌気して、売り先行のスタートとなった。ただ、売り一巡後は、佳境を迎えている決算発表を評価しての押し目買いが入り下げ渋る推移となった。既に4-6月期決算を発表した銘柄のなかから、経常利益で通期予想に対する進捗率の高い銘柄に照準を当てた。
●ＴＡＣは通期予想上回り急騰
3日の東証1部で値上がり率1位となったのは、「資格の学校」で知られるＴＡＣ <4319> 。一時、前週末比80円ストップ高まで買われ、1月15日につけた年初来高値254円を更新し、終値でも同54円高(25.2％)の268円となった。
同社が前週末7月31日に発表した16年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算が、売上高55億9200万円(前年同期比3.5％増)、経常利益8億600万円(同41.9％増)の大幅増益となり、16年3月期通期予想の売上高199億6100万円(前期比2.2％増)、経常利益5億9400万円(同47％増)、を利益面で既に通期予想を上回る驚異的な高進捗率が好感された。
季節要因で、第1四半期に売上高・利益が膨らむ傾向はあるものの、消費税増税による駆け込み申し込みの反動減による影響解消に加えて、企業研修の好調などが牽引。ＴＡＣの場合は極端で株価の反応も大きくなったが、このほかにも下に示したように、利益高進捗率銘柄は目の離せない存在として注目したい。
●マンダムはインドネシア市場拡大
マンダム <4917> の16年3月期第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高210億9400万円(前年同期比7.4％増)、経常利益は40億6200万円(同14.4％増)だった。国内ではコア・ブランド「ギャツビー」夏シーズン品の苦戦を、女性分野の好調でカバー。海外ではインドネシアで「ギャツビー」を中心に好調に推移したことに加え、円安による円換算額の増加も寄与している。女性用化粧品の新製品効果に加えて、インバウンド需要なども享受。また、新工場が6月に竣工したインドネシアなど海外事業も伸びていることが業績を牽引しているようだ。
●サカイ引越は作業件数が順調推移
サカイ引越 <9039> の16年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算は、売上高198億8500万円(前年同期比4.5％増)、経常利益は32億5600万円(同11.4％増)と経常2ケタ増益を達成した。4-6月の新設住宅着工戸数が前年同月比で3カ月連続プラスに転じるなど回復の兆しが認められるなか、同社の作業件数は18万4266件(前年同期比742件増)と好調な推移をみせている。
●明治海運はホテル事業が牽引
明治海 <9115> が発表した16年3月期第1四半期(4-6月)の経常利益は前年同期比42.9倍の17億6100万円と好調、通期予想に対する進捗率も65.2％に達している。主力の外航海運では、円安基調による傭船料の増加や新造船の竣工などによる売上高が増加した。同社はホテル事業を積極展開しており、昨年6月30日から同社グループに加わったザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート＆スパがフル稼働するなど、インバウンド効果に伴い順調に収益が拡大している。
●わかもとは「強力わかもと」増勢寄与
わかもと <4512> は、16年3月期の第2四半期累計(4～9月)単体業績予想の修正を発表。経常損益を1億4000万円の赤字から3000万円の黒字(前年同期は2700万円の黒字)に上方修正した。売上高は54億円(前年同期比3.7％増)で据え置いているものの、主力商品の「強力わかもと」をはじめとした薬粧事業の売り上げ増加による製造原価の低減に伴い損益面の改善が進み、上方修正となった。なお、通期の経常利益予想の2億円(前期比14.4％減)は据え置かれた。
●ハリマ化成Ｇは製紙用薬品拡大
ハリマ化成Ｇ <4410> の16年3月期第1四半期(4～6月)の連結業績は、売上高207億3700万円(前年同期比4.6％増)、経常利益13億6100万円(同2.6倍)となった。同社は松ヤニを原料とした化学大手で、海外売上高比率が50％を超え、円安による増収効果が期待される。また、中国、米国向けを中心に製紙用薬品が順調な成長をみせている。なお、通期経常利益予想の20億円(前期比8倍)は据え置いている。
【 主な通期経常利益上方修正銘柄 】
コード 銘柄 旧経常益 経常益 修正率 株価
中電工 <1941> 8800 11600 31.8 2556
コカウエスト <2579> 9600 12100 26.0 2499
モノタロウ <3064> 5999 6949 15.8 6530
帝人 <3401> 47500 53000 11.6 453
アグロカネシ <4955> 1183 1964 66.0 1004
日電硝 <5214> 10000 15000 50.0 602
大和工 <5444> 19000 22000 15.8 2912
ホシザキ <6465> 27700 30500 10.1 7400
ＳＭＫ <6798> 3800 4300 13.2 569
新明和 <7224> 14500 16500 13.8 1256
コクヨ <7984> 9350 10800 15.5 1289
神鋼商 <8075> 5700 6300 10.5 277
ＪＲ西日本 <9021> 130000 143500 10.4 8909
ＫＮＴＣＴ <9726> 4200 5000 19.0 218
※株価は3日終値（単位：100万円、％、円）
株探ニュース
