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【経済】(中国)造船会社の破たん相次ぐ、受注減・生産過剰が深刻


深セン上場の江蘇舜天船舶(002608/SZ)が一部銀行による財産保全措置や在庫船舶の投げ売りを発表したことで、造船業界の厳しい現状にあらためて市場の注目が集まっている。受注の減少と生産能力の過剰を背景に、昨年末以降、すでに複数の造船会社が経営破たんを余儀なくされた。業況に大幅な改善の兆しが見えないなか、今後も破産企業の数は増えていくと懸念されている。現地メディアが28日伝えた。
厳しい経営環境のなか、中国では昨年末以降、造船会社の破産申請が相次いでいる状況だ。今年3月には、韓国系のSTX大連が破産手続きを開始。負債の規模は240億人民元(約4780億円)に上ったとされる。このほかにも5月までに、東方重工(江蘇省)、荘吉船業(浙江省)、正和造船(同)などが破産を相次いで申請した。
現時点で破産申請した造船会社はいずれも民営または外資だが、国有企業を含めた業界全体の経営環境が悪化していることに変わりはない。統計によると、一定規模を超える船舶工業企業1442社の利益総額は、今年1~5月に前年同期比13.3%減の85億4000万人民元に縮んだ。うち造船会社は11.3%減の48億1000万人民元に落ち込んでいる。
世界的な景気減速を背景に、中国の新造船受注は大幅に減少。中国船舶工業協会によると、今年1~6月の新造船受注量は前年同期比72.6%減の1119万載貨重量トン(DWT)に低迷した。一方で完工量は6.3%増の1853万DWTにやや増加。6月末の手持ち工事量は1億3807万DWTと、前年同期比を9.2%下回った。
同協会は15年通年の新造船受注を2000万~2500万DWTと予測。これは前年実績(6984万DWT)を最大で7割下回る水準だ。半面、完工量は4000万~4500万DWTに達し、前年実績(3905万DWT)から最大で15%増加する計算。この結果、手持ち工事量は1億3000万DWTに縮小するとみられている。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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