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【通貨】【外国為替】8月以降は米利上げ意識 /冨田康夫 <夏の相場観>

日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 ギリシャ債務問題は先週末の段階では、何とか決着するのではとの期待感があっただけに、29日の東京外国為替市場では、ネガティブサプライズとの受け止めが広がり、1ドル=122円台前半まで円高が加速した。ただ、日本経済への直接的なマイナス影響は軽微なことなどが認識されれば、冷静さを取り戻すことになる。

 ギリシャ議会が、財政緊縮策の是非を問う国民投票を7月5日に実施すること決めたことで、30日の国際通貨基金(IMF)向けの融資返済を履行できないことがほぼ確実となった。ただ、ギリシャ情勢は不透明感が強く流動的で、国民投票で財政再建策の受け入れの結果が出た場合、交渉再開となる可能性も残されている。ギリシャのユーロ離脱回避の見通しが明らかになれば、円高に歯止めが掛かることも想定される。

 ギリシャ問題がやや落ち着きを見せはじめるころには、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が合意に向けて佳境を迎えることになりそうだ、交渉期間中にドル高円安が進行することは考えにくい。

 ただ、米金利の年内引き上げはもはやコンセンサスになっており、それが多少前後しても大きな影響はなさそうだ。8月に入ると、9月の利上げが現実的に意識されはじめ、ドル高円安方向の流れとなりそうだ。7月~9月のドル円は120円台~125円台のレンジを想定する。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

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