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【経済】(中国)地下パイプライン網刷新へ、10年で最大9.6兆円投資


ガス、スチーム、上下水道などの地下パイプラインが刷新される見通しだ。共同溝を整備したうえで、各種のパイプを敷設する。これによって重複投資や土地、労働力、設備の浪費を抑制する狙いという。毎日経済新聞が15日、住房和城郷建設部(住宅都市農村建設部)の陳政高部長の話として伝えた。
中国は向こう10年をかけて、地下パイプ網の整備を進める。今年5月末をめどに「都市総合配管工程技術規範」を発表する予定だ。全国統一の規格、設計、施工、保守システムを導入する。
中国で共同溝が設けられた都市は少ない。不完全ながら北京、上海、深セン、蘇州、瀋陽などに限られる。
同部と財政部はこのほど、共同溝の整備に乗り出す15年のモデル10都市を選定。補助金を支給したうえで、包頭、瀋陽、ハルビン、蘇州、アモイ、十堰、長沙、海口、六盤水、白銀の各地で投資を進めると発表した。
ある研究機関によると、地下パイプライン網の更新に擁する費用は高額。全国で4000億~5000億人民元(約7兆7000億~9兆6300億円)の投資が新たに必要になるという。
すでに国務院は2014年6月に「国務院による都市地下管の建設管理を強化するための指導意見」を発表。都市部を中心に地下パイプライン網の構成を整える方針を打ち出した。主要36都市でモデルプロジェクトを進める意向だ。2015年末までに地下パイプラインの全体構造を把握。管理・情報システムを導入したうえで、総合計画案をまとめる。向こう5年内に旧式設備の改造、更新に注力。漏洩率を国家基準内に引き下げる。漏洩率を基準値以下に抑制することで、重大事故の発生を未然に防止する狙い。
中国の地下パイプラインは、水道やガスなどをはじめとして8種類が存在。さらに細かく分ければ20種を超える。ただ、監督・管理機構が30あまりに分散しているため、横の連携が弱いとされる。そのため地下工事の施工時に別系統のパイプラインを傷つけてしまう事例が多発。断水、停電、通信中断、道路陥没、ガス供給停止などが頻発しているのが現状だ。可燃性ガスが漏出した場合、爆発事故を招く恐れもある。人々の財産と生命を守るためにも、地下パイプライン網の再構築、安全性確保は喫緊の課題といえそうだ。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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