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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


市場が語る「相場の強さ」

●居座る2つの波乱要因

 波乱の1月相場が終わった。大発会から下落続きとなってしまったため、月足チャートは陰線になってしまうのではないか。こんな心配があったが、陽線で終われるのは喜ばしい限りだ。

 今月は二つの大きな懸念材料があった。ギリシャの総選挙と原油価格の下落だ。前者はすでに終わり、後者はなお下落に歯止めがかかったとはいえない状況だ。ギリシャにしても選挙で勝利した急進左派連合がどんなふうに政権を運営していくのかまったくの未知数。予断を許さないのが実際だ。

 つまり、2つの波乱要因がなお居座り続けている格好であり、この点では決して楽観などできる状況にはない。

 それにも関わらず東京市場の基調は上向きだ。日経平均はまだ昨年暮れにつけた高値1万7914円には届いていないし、12月8日の高値1万8030円にはなお距離がある。しかし、今後これらを越えていくと見てよく、いまはベース作りがなされている段階とみてよい。

 前述した大きな懸念材料があるにも関わらずどうしてそんなことがいえるのか。こういうことになるだろうが、実は懸念材料があるにも関わらず上昇を続けている事実。これこそが上昇要因になる。

 つまり、株式市場には「市場のことは市場に聞け」という言葉があるが、理屈の上では株がとても上がりそうにないのに、実際には株が上がる。これは「市場の声」とみなすことができ、それは「株は強いですよ。上がりますよ」と言っているに等しい。

 投資環境が良好な時に上がるのなら、それは自然だ。しかし、いまは誰がどう見ても厳しすぎる状況であり、株式投資の経験がない人からみると、とても投資などできない。こういうことになるだろう。

 ところが、新値をつける銘柄が日々多数ある。いまはこの点をしっかり見て投資することが大事になる。

●外せないインバウンド関連株

 こんな動きの背景にあるのはなにか。やはり、米国経済の力強い成長と発展だ。遠い日本から米国を見ると、問題だらけのように見える。実際、多数の問題があるだろう。しかし、投資の観点からは経済の成長力。これが問われ、いまのところこの点には大きな問題はない。

 ギリシャのユーロ圏離脱観測やロシアの財政危機など、米国経済の足を引っ張りそうな材料は多数ある。しかし、それでも29日に発表された失業保険申請件数を見ても、前回の30.7万件が26.5万件に急減していた。雇用の改善が進んでいることになる。

 このような数字に対しても、厳しい見方をするなら、それはできる。雇用は増えても給料は増えていない。正式雇用ではなく、アルバイト的なそれが増えただけだ、などと。

 確かにそんな見方もできるし、間違ってもいない。しかし大事なのは、満足できる給料ではないかもしれないが、雇用され、失業保険を申請しなくても済むようになっている人が増えている。この点になる。

 ただ米国では、経済指標の発表が実に多い。1日に2~3種類の発表があるのはザラであり、一週間ともなると10種類くらい出てくる。

 それらのすべてが米国経済の好調ぶりを示すものではなく、中には数字が減少するものもある。そして、それが発表されるとNYダウ、ドルともに売られてしまうことも多い。

 このため、「米国経済はどうもダメみたい」となってしまいがちだ。これは好ましくない。10の指標があれば、3つくらいは厳しいものが出ることは計算に入れておくべきだからだ。

 それに数多い指標の中で、特に重要なのはGDPと雇用関係のそれになる。他も大事ではあるが、ウエイトしては雇用関係の7掛けといえる。

 では、国内の指標はどうなのか。これももちろん無視はできないものの、米国の主要指数の重要度を10とすれば、国内のそれは半分以下のウエイトでよい。

 東京市場がグローバル化という大洋を航行している以上、これはやむを得ない。重要なのは米国の各種指標なのであり、それが米国経済の成長継続を示唆している以上、その流れに素直に乗る。これが正解だ。

 投資対象銘柄も、外国人が日本にお金を運んできてくれるという観点から、インバウンド(来日外国人流入)関連株を外さないようにしたい。

 具体的には週末大きく株価が下げたOLC <4661> がある。今期収益が前期に比べて減少するとの予想から株は売られたので拾っておきたい。

 ユニバーサルスタジオジャパンに隣接する形で二つのホテルを所有する京阪電 <9045> もなお投資魅力がある。

 会員制ホテルの運営に加え、健康診断ビジネスが好調なリゾートトラ <4681> も押し目狙いで。

 そして、収益回復に必死なソニー <6758> も魅力的だ。

2014年1月29日 記

「チャートブック日足集」No.1556より転載
(「株探」編集部)

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