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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「ヒツジ来て“未来”明るい大納会!」

●足元は「逆オイル・ショック」を危惧!

 ヒツジ(未)来て“未来”明るい大納会! 断っておくが、今年の大納会のことではない。15年末の大納会の活況を示している。

 すなわち、15年の干支(エト)は未(ヒツジ)。“未来”はヒツジが来る、と表記する。

 足元の相場は原油価格の下落を嫌気し、波乱の展開となっている。マーケットでは「逆オイル・ショック」の到来を危惧する声がある。

 確かに、ベネズエラ、イラン、ロシアなどの原油価格の歳出を賄える財政均衡ラインは、1バレル=100ドルを超えている。特に、ベネズエラは162ドルであり、現状の原油価格ではどうにもならない。実際、2年物国債利回りは76.2%に達する。完全にデフォルトを織り込んだ水準だろう。

●ロシアの財政は危機的状況に!

 ロシアだって楽観できない。危機的状況にある。財政均衡ラインは100ドルといわれている。ちなみに、ソビエト崩壊(91年)、ロシア・ルーブル危機(98年)は原油価格の急落が引き金になった。何しろ、輸出の7割が鉱物性燃料である。

 すでに、政策金利は17%になっている。まさに絶体絶命のピンチ、異常事態といえる。

 ただ、当たり前の話だが、原油価格の下落は日本などエネルギー消費国には多大のメリットを与える。まさに、裏と表の関係と見ることができる。

 日本の場合、鉱物性燃料の年間輸入代金は27兆円に達する。原油価格の下落は数兆円単位の負担減につながるだろう。

 企業収益にもプラスである。大手証券によると、日本企業の増益率は14年度が10%程度、15年度が15%前後となっているが、現状の原油価格、為替水準(円安)が継続すると仮定した場合、15年度の増益率は25%強に上ブレするという。

 ちなみに、15年度のEPS成長率はアメリカ企業が3%、欧州企業が9%、アジア企業が11%と予想されている。

●日本企業の増益率の高さは突出!

 そう、日本企業の増益率の高さが突出している。これを受け、年明け以降、外国人の日本株買いが活発化するのではないか。

 もちろん、先の総選挙において与党が勝利、日本再生→失われた20年の克服を目指すアベノミクスは継続される。

 GPIF、および3共済(総資産合計160兆円)の基本ポートフォリオの見直しでは、日本株の買い余力が12兆円、外国証券(株式、債券)の買い余力が21兆円発生する。これは円安・株高の要因となる。

 いや、日銀の異次元の金融緩和の狙いがそうだが、国策は円安・株高である。

 株価との連動性が高いマネタリーベースは13年4月4日の異次元の金融緩和断行時の135兆円が13年末には193兆円、14年10月30日の追加金融緩和時には246兆円と急増した。日銀の計画によると、15年末には355兆円になる。

●燃料電池車の「MIRAI」が本命!

 物色面はどうか。この局面は15年の明るい“未来”に備え、有望株をじっくり仕込む戦術をお勧めする。

 “未来”といえば12月15日に発売したトヨタ <7203> の燃料電池車「MIRAI」(Fuel Cell Vehicle)だろう。価格は723.6万円と高いが、政府の購入補助金が202万円出る。

 15年は燃料電池車の普及元年となろう。これに関連している燃料タンクの宇部興 <4208> 、ガス発電装置の川重 <7012> 、水素ステーションの岩谷産 <8088> などが狙い目である。

 このほか、画期的な電解質膜(燃料電池車のキーパーツ)を開発中の高度紙 <3891> [JQ]も狙える。

2014年12月17日 記
(「チャートブック日足集」No.1551より転載)

(「株探」編集部)

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