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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「信じるべきはトレンド」

●マイナス材料への過剰反応は禁物

 残念ながら8月の月足チャートは陰線に終わった。しかし、下落幅は小さく、水準も興味あるところで終わったといえる(本稿執筆は29日前場現在)。市場の短期トレンドを示す日経平均の25日移動平均線の水準まで下げているからだ。

 ここは目先の下値支持線。ここで止まって反発に転じられるかが問われるところだが、割り込んだとしてもそれは一時的に終わる可能性が高い。

 8月の月足は前述したように陰転したものの、肝心のトレンドは8月半ばからなお緩やかに上向き続けているからだ。

 それを崩すものがあるとすれば、もちろん3大地政学リスクだ。つまり(1)ウクライナ情勢の緊迫化、(2)イスラエルとパレスチナ・ハマスとの戦闘再開懸念、(3)イラク北部の「イスラム国」に対する米爆撃問題――これらはどれも短期の解決は困難ながら、時々、小康状態が訪れる。

 その間はドルが買われて円が下落することで、日経平均は浮上。こんな望ましい形になってくれるのだが、継続期間は短い。

 この原稿を書いている時点でも、ウクライナ東部地域にロシア軍部隊が1000人規模で侵入したとの報道があり、ウクライナばかりでなく、欧米、そして世界の金融市場も警戒を強めている最中だ。

 一方で、ロシアのプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領は26日、ベラルーシの首都ミンスクで直接会談を行い、和平に向けて話し合ったばかりで、正直なところ今後の展開を読みにくい。

 このような局面では当然、慎重姿勢が最優先になるため動きにくいのは確かながら、大事なのは前述した地政学リスクやその他のマイナス材料に過剰反応しない。これが求められる。

●国内に3つの支援材料

 市場マインドが低下すると、当然売買が少なく、そこにマイナス材料が出現したりすると慌てて持ち株を手放してしまったりする。そんな素早い対応が必要なこともあるのだが、いま信じるべきはトレンドだ。前述したように25日移動平均だけでなく、中期のトレンドを示す13週や26週の移動平均線も上向き続けている。

 背景にあるのは、米国経済の復調であり、それがここから急激に悪化してしまうようなことはまず考えられない上に、国内にも株価支援材料がある。

 リニア新幹線の着工接近だ。9月中にも着工する見通しで、すでに関連銘柄として大手ゼネコンをはじめ、トンネルや土木に強い企業の株価が高値へと進んでいる。

 改めて書くまでもなく、リニア新幹線は歴史に残る一大プロジェクトだ。主体となるのはJR東海 <9022> ながら、国の「国土強靱化政策」とセットになっていることを忘れないようにしたい。

 それにいまはもう一つビッグプロジェクトがすでに進んでいる。もちろん、東京オリンピック開催だ。

 ところが、これらについて意外に冷やかな投資家が多い。「オリンピックと言ってもねえ、まだまだ先の話だし」とか「リニアってトンネルばかりでしょ。乗る人いるのかね」などという批判から、関連株にも興味なしということになる。

 興味のあるなしに他人がとやかくいうわけにいかないものの、日本が持てる力のすべてを投入して取り組む一大プロジェクトなのだ。それを考えると、冷やかに黙殺してしまうのはもったいないのではないだろうか。

 幸い、GPIF(年金積立金管理運用行政法人)の運用比率見直し期待もある。日本株への投資比率を20%、もしくはそれ以上とする案が検討されているが、どちらになるにしても日本株の新規買い要因になる。

 この点については、投資対象となりそうな銘柄はすでに相当買われているとの見方がある。それは否定しないものの、まだ上限に達しているわけではないのだ。

 そこで、注目銘柄。まずはリニア着工関連株として低位株の中から、土砂などの運搬に不可欠なコンベアに強いコンベヤ <6375> 、削岩機に強い古河機金 <5715> 、そして住友大阪 <5232> 、太平洋セメ <5233> も需要増は必至で株価も緩やかな浮上が見込める。

 リニア着工関連以外では、上昇一服中のエムスリー <2413> 、同じく日本空港ビル <9706> 、そしてディップ <2379> を。

 最後にリスクは高いが、割り切り投資なら蛇の目 <6445> がある。

2014年8月29日 記

「チャートブック週足集」No.1989より転載
(「株探」編集部)

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