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【市況】ダウ平均(非ナスダック)の「ゴールド・クオリティ」銘柄が主導する相場へ【フィリップ証券】

 金(ゴールド)価格が高騰している。CMXの金先物(期近)価格は最近まで3年以上レンジ上限を形成していた1オンス2080ドル近辺を大きく抜けてきたほか、日本の大阪取引所における金先物価格も終値で今月4日に1グラム1万円の歴史的節目を超えて更に上昇継続中だ。

 他方、米国株市場は、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)を米国株を代表するS&P500指数で割った「SOX/S&P500倍率」は今月7日終値で一時1.0倍に達し、2000年3月中旬にナスダック総合指数が「IT(ドットコム)バブル」のピーク水準に達した時の当該倍率(0.95倍台)を超えた。同時に、主要半導体銘柄を含み、大型ハイテク・グロース銘柄を中心とした「ナスダック100指数(NDX)」(金融を除くナスダック上場時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均)についても、米国を代表する高クオリティ企業の30銘柄の平均株価である「ダウ(工業株30種)平均株価」に対する倍率が足元で0.46倍台と、2000年3月中旬のITバブルのピーク時と同水準まで高まっている。この動きは持続可能とは思われず、ダウ平均株価のパフォーマンスが相対的に優位となる面が出てくるのではないだろうか。

 金価格高騰の要因は単に米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ期待と米長期金利低下だけではないだろう。酸化して腐食することが無く、特殊な溶液でなければ溶けないクオリティの高さを人類の長い歴史の中で世界中で共通した価値基準として自らの手で築き上げてきた。それが最高級の実物資産として、インフレ時にお金の価値が目減りする中で価値を保全する原動力となったきた。米国株の中でこのようなクオリティに相当する銘柄といえば、ダウ平均構成銘柄になるのではないだろうか。その中には、長い歴史の中で世の中の大きな環境変化を乗り越えて生き残ることで自らの価値を創造・構築していった「ゴールド・クオリティ」銘柄と言える面もあるだろう。連続増配年数が50年を超える「配当貴族(配当王)」銘柄となったもの、主要な信用格付け機関から米国債を上回る信用格付けを得ている銘柄もある。

 ダウ平均構成30銘柄の内、3/22終値の年初来上昇率首位はウォルト・ディズニー<DIS>の+28.3%だった。同社は動画「ディズニー+」不振に伴う株価大幅下落後、経営者交代と「物言う株主」からの経営圧力も含め、経営再建による株価「ターンアラウンド」の様相だ。最近は化学・素材大手の3M<MMM>なども同様のターンアラウンドの兆しが見え始めた。自らの変革により長い歴史を生き抜いてきた伝統企業の真価発揮が期待される。



ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ> 市場:NYSE・・・2024/4/16に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

【タイトル】

・1887年設立。世界60ヵ国に250社以上のグループ企業を有する世界最大級のヘルスケア企業。「医薬品」、および「医療装置」の2事業部門を運営。消費者向け事業は2023年8月に分離独立。

・1/23発表の2023/12期4Q(10-12月)は営業収益が前年同期比7.3%増の213.95億USD、非GAAPの調整後EPSが同11.7%増の2.29USD。主力の処方薬部門(新型コロナワクチン除く)が同7%増収に加え、手術用医療器具など医療装置部門が22年12月のアビオダッド買収効果の寄与で同13%増収。

・2024/12通期会社計画は、買収・事業売却・新型コロナ関連の影響を除く調整後営業収益が前期比5-6%増、調整後EPSが同6-8%増の10.55-10.75USD。昨年8月に消費者向け「ケンビュー」を分離完了後、手術ロボット「Ottava」を擁する医療機器と年商10億USD以上の「ブロックバスター」を10以上擁する医薬品を併せ持つ。特に医療機器部門は新型コロナで先送りされていた手術件数が見込まれる。強い2事業の相乗効果でヘルスケア代表銘柄としての位置付けを期待されよう。



3M<MMM> 市場:NYSE・・・2024/4/25に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表予定

【タイトル】

・1902年設立の化学・電気素材メーカー。「安全&産業(作業現場向け)」、「輸送&電子機器」、「ヘルスケア」、「消費者」の4事業セグメントの下で運営され、世界中で多様な事業部門を展開する。

・1/23発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.8%減の80.13億USD、リストラ関連等一時的費用の影響を除く非GAAPの調整後EPSが同10.0%増の2.42USD。23年年初からの人員削減と販売経路見直しなどコスト圧縮が奏功し、調整後営業利益率が同1.8ポイント改善の20.9%。

・2024/12通期会社計画は、調整後EPSが前期比1-6%増の9.35-9.75USD、調整後営業キャッシュフローが同8-16%減の65-71億USD。25年までのPFAS(有機フッ化化合物)製造撤退に伴うリストラ進展成果が業績に出始めた。依然として売上低迷が課題として残るなか3/13、次期CEOに大手航空宇宙企業の元トップのブラウン氏を指名。成長と利益率向上の両立とともに、2018年1月高値から約6割下落した株価のターンアラウンドが期待される。



プロクター・アンド・ギャンブル<PG> 市場:NYSE・・・2024/4/19に2024/6期3Q(1-3月)の決算発表予定

【タイトル】

・1837年設立の世界最大の一般消費財メーカー。ファブリック・ホームケア(洗剤・家庭用品)、ビューティ(化粧品など)、グルーミング、幼児・女性・家族ケア、およびヘルスケアの5部門を営む。

・1/23発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比3.2%増の214.41億USD、カミソリのジレット関連減損損失の影響を除く非GAAPのコアEPSは同15.7%増の1.84USD。販売数量は同1%減も販売価格値上げが奏功。更に製品ミックス改善と原材料コスト低下で粗利益率が同5.2ポイント上昇。

・通期会社計画は、売上高を前期比2-4%増で据え置きに対し、ジレット減損損失および昨年12月発表の2年間の事業再編プログラムの影響を除くコアEPSを同8-9%増の6.37-6.43USD(従来計画6.25-6.43USD)へ上方修正した。同社は3Mと並び連続増配年数67年と、「配当貴族」や「配当王」銘柄が並ぶ米国上場企業の中でも屈指の長さ。半導体や大型ハイテク・グロースから伝統的優良銘柄への回帰の際の代表的存在と位置付けられよう。



フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)


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